オーストラリア政府は、オーストラリア国民を優先し、市民権取得の要件を厳格化する計画を発表した。市民権の新規取得申請者に英語の運用能力のテストや長期滞在歴等を課す上に、国への貢献度を証明する一環として「オーストラリア的な価値観」に関するテストの導入も検討されているという。テストの具体的な内容は検討中だという。
同国では反移民政策の極右政党「ワン・ネーション」が躍進するなどポピュリズムが広がっており、移民に職を奪われる労働ビザの縮小が求められていたという。ターンブル首相は、移民審査を厳格化する米国のトランプ大統領を真似するかのように、「オーストラリア国民とオーストラリアの雇用を第一」とした措置であると述べたという。
4月19日付米国
『ABC』(AP通信引用)は「オーストラリアが市民権付与の語学基準を厳格化」との見出しで以下のように報道している。
豪州は永住権取得の基準を厳格化する方向である。市民権を得るには、より高い英語力と十分な発話能力、4年以上の長期滞在歴、職業等の定着要件が必要。現在では永住権を取得し1年後には市民権が得られる。
ダットン移民相によると、市民権申請者には警察からの調査も入り、DV犯罪歴が或る者は申請資格がなくなる。...
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4月19日付米国
『ABC』(AP通信引用)は「オーストラリアが市民権付与の語学基準を厳格化」との見出しで以下のように報道している。
豪州は永住権取得の基準を厳格化する方向である。市民権を得るには、より高い英語力と十分な発話能力、4年以上の長期滞在歴、職業等の定着要件が必要。現在では永住権を取得し1年後には市民権が得られる。
ダットン移民相によると、市民権申請者には警察からの調査も入り、DV犯罪歴が或る者は申請資格がなくなる。
また豪州コミュニティへ溶け込んだ過程を示すため、雇用証明書や団体会員、入学証明書等の提出が必要だという。
活動団体「GetUp」は申請者が犯罪を犯すだろうと決めつけており、反イスラム教徒の野党極右政党「ワン・ネイション」が新基準の裏にあると批判。野党労働党党首ビル・ショートニングは、上院での決議を見守る姿勢で、「英語能力を見るのは当然で市民権を取得するのに時間をかけるのは妥当である」という。
豪州はこれまで多くの移民を受け入れ、4人に1人は外国生まれか両親のどちらかが外国出身者である。
4月20日付豪州
『ラジオ・オーストラリア』は「豪州、市民権法改正で難民受け入れ基準が厳格化」との見出しで以下のように報道している。
豪州政府は市民権要件を大幅に改正。ターンブル首相は申請者は「オーストラリアの価値感」を重んじ、国への貢献を証明しなければならないと述べている。市民権申請者はオーストラリアへの貢献度を証明し、宗教の自由やジェンダー平等を認める姿勢を示す必要がある。各種証明書に加え、英語での読み、書き、リスニングのテストも実施されるという。しかし、最も重視される点は「オーストラリアの価値観」。豪州の親族がいる人は有利となる。しかし、政府はこの価値観をどうテストするかは決めておらず、どのような問題を出すかは広く意見を聞き検討するとしている。
労働党のペニー・ウォン上院委員は、この改正は主として政治的目的のためであるとする。ウォン上院議員は、もし英語の文法がテストに出るなら、閣僚でも合格に手こずるかもれない」と述べている。
同日付
『ヤフー』(AFP引用)は「豪州が市民権基準を厳格化」との見出しで以下のように報道している。
ターンブル首相は、オーストラリアは「珍しい国である…我々は国が違うように、様々な人種、文化で構成され、共通の価値観、政治的価値感、法規、民主主義、自由、互いの尊重、男女平等へのコミットメントがある。このような基本的価値感はオーストラリア国民のものだ。市民権審査ではこれが重視されるべきだ」と述べ、市民権審査厳格化を発表した。また、米国の移民審査を厳格化するトランプ大統領を真似て、今回の市民権審査厳格化は、「オーストラリアの人とオーストラリアの雇用を第一」とした措置であると述べたという。
背景には、ポピュリストからの圧力や、反移民派の「ワン・ネーション党」の躍進がある。
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