本来、100名の上院議員のうち5分3以上の最低60名の承認を要するが、共和党は規則を変更するという異例の措置(核オプション)を採り、過半数(51名)での承認を強行した。
ゴーサッチ氏は、同性婚の禁止や中絶の禁止等を訴える保守派である。民主党は、ゴーサッチ氏は主流派から外れており、企業の利益を優先しすぎて公平な判断ができないと主張して最後まで抵抗した。
米国最高裁判所は、裁判所長官である首席判事と8人の陪席判事の計9名で構成されている。...
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本来、100名の上院議員のうち5分3以上の最低60名の承認を要するが、共和党は規則を変更するという異例の措置(核オプション)を採り、過半数(51名)での承認を強行した。
ゴーサッチ氏は、同性婚の禁止や中絶の禁止等を訴える保守派である。民主党は、ゴーサッチ氏は主流派から外れており、企業の利益を優先しすぎて公平な判断ができないと主張して最後まで抵抗した。
米国最高裁判所は、裁判所長官である首席判事と8人の陪席判事の計9名で構成されている。最高裁判所判事は終身制で、弾劾裁判以外の理由では解任されない。
今回の承認は、2016年2月に死去した保守派スカリア氏の後任を決めるもので1年以上空席であった。実は、オバマ前大統領が2016年3月にガーランド氏を指名したが、共和党が同年11月の大統領選挙後の課題として承認の採決はおろか、承認のための公聴会すら開催しないという異例の行動を取ったのである。
現在の判事は、共和党の大統領が指名した保守派3人、中間派1人と民主党の大統領が指名したリベラル派4人であり、今回の承認により保守派とリベラル派が同数となった。よって、中間派判事であるケネディ判事の判断が、最高裁判所の決定を左右することになる。
現在、連邦裁判所で差し止められているイスラム圏の入国制限や銃規制等の重要な案件の行方に最高裁判所の決定が反映され、今後の米国の市民生活にも大きな影響を及ぼすことになる。特に、メキシコなとからの不法移民にとっては非常に頭の痛い出来事であると考えられる。
また、現在78歳以上の判事が2人(中間派、リベラル派)がおり、トランプ大統領在任中に再び最高裁判所判事を指名する機会が生じ保守派優位となる可能性もある。
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