米国は、地中海に停泊している駆逐艦2隻から59発の巡航ミサイル「トマホーク」を発射し、化学兵器を保管しているシリア空軍基地を爆撃した。
この攻撃は、4月4日アサド政権が、反政府勢力に対しシリア北西部イドリブ県で化学兵器(サリン)を使用した空爆を行い、100人以上の死者を出したことに対する報復措置である。
シリアの内戦は、2011年、チュニジアで発生した革命運動に端を発したアラブの春の一連の運動から始まった。...
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米国は、地中海に停泊している駆逐艦2隻から59発の巡航ミサイル「トマホーク」を発射し、化学兵器を保管しているシリア空軍基地を爆撃した。
この攻撃は、4月4日アサド政権が、反政府勢力に対しシリア北西部イドリブ県で化学兵器(サリン)を使用した空爆を行い、100人以上の死者を出したことに対する報復措置である。
シリアの内戦は、2011年、チュニジアで発生した革命運動に端を発したアラブの春の一連の運動から始まった。2013年8月、アサド政権による化学兵器(サリン)使用による反政府軍への攻撃で数百人の死者が出た。この時、米国のオバマ前大統領ははシリアに対し空爆を行わなかった。トランプ大統領は、以前からこのオバマ前大統領の対応を痛烈に非難してきており、今回、即刻、報復行動に出たものと考えられる。
しかし、これまでトランプ大統領はイスラム国の撲滅を優先し、ロシアの反政府勢力等への空爆を容認、ロシアが支援しているアサド政権の退陣を求めない姿勢を3月末に明らかにしたばかりであった。そのことが、4月4日、シリア政府軍の化学兵器を使用した攻撃を誘発したとの見方がある。
現状、シリア内戦はロシア、イランが支援するシリア政府軍、米国、トルコが支援する自由シリア軍などの反政府勢力、イスラム国、アルカイダ系旧ヌスラ戦線、クルド人勢力が複雑に絡んで、全く出口の見えない泥沼化したものとなっている。
ロシアは、今回の米国によるシリアへの空爆をシリアへの内政干渉と非難する声明を出しており、ロシアが報復措置に出る可能性もある。
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