ホワイトハウス関係者が確認した今回のNSCの改革では、ダンフォード統合参謀本部議長と、米諜報機関トップのコーツ国家情報長官がNSCの常任メンバーに昇格し、この変更によりNSCは本来果たすべき中核的な機能に戻るとしている。ある国家安全保障の専門家は、バノン米首席戦略官・大統領上級顧問とマクマスター米国家安全保障問題担当大統領補佐官の暗闘にマクマスターが勝利したのではないか、トランプ米政権内には内紛が起きているのではないかとみている。ある米国外交政策担当官や国家安全保障担当官は、シリア、北朝鮮、イランなどの緊急課題に対処するトランプ政権内の体制がまだ整備されていないと指摘している。トランプ政権に入る前は右翼のウェブニュースを経営していたバノン米首席戦略官・大統領上級顧問については、外交政策の専門知識の無い者に大きな意思決定をさせているとの批判があった。ホワイトハウス当局者は、マイケル・フリン前米国家安全保障問題担当大統領補佐官の2月の辞任後、フリン氏の監視役だったバノン氏はもはやNSCに必要なくなっていたのでメンバーから外されたとしている。またバノン・マクマスター間の権力闘争についての質問を却下し、二人は同じ世界観を共有していたと述べている。しかしある専門家はフリン氏の辞任からもう2ヵ月が経過したと指摘し、ホワイトハウスの説明を否定している。またバノン・マクマスター間には暗闘があったとしている。トランプ米大統領は4月6、7日、中国の胡錦涛国家主席と米中首脳会談を行い、北朝鮮の核・ミサイル問題が重要な議題となる見込みである。
一方、4月5日の
『The Washington Post』は、バノン米大統領顧問がNSCを外される理由を以下の通り分析している。
第一の理由はマクマスター米国家安全保障問題担当大統領補佐官が非軍事の複数の外交政策専門家を採用するのと同時にバノン米首席戦略官・大統領顧問をNSCから外すことで、世界情勢が緊迫する中でNSCを正常化し機能させるためのものである。
第二の理由はバノン米首席戦略官・大統領顧問のNSCからの隔離である。彼は外交政策の専門知識を持たない上に、右翼の民族主義のヨーロッパの政党やそのスポンサーであるプーチン政権に好意を持っているのでNSCにいるべきでない。
第三の理由はプーチン露大統領と距離を置くためである。バノン米首席戦略官・大統領顧問のプーチン露大統領への支持と服従は有名である。米大統領選挙への干渉が疑われ、プーチンの支持するシリアのアサド政権がサリンを使用した疑いをもたれる中で、トランプ米大統領はプーチン露大統領と距離を置く必要がある。バノン米大統領顧問をNSCから外すことはそのために大切である。
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