バノン氏がNSCの常任メンバーに就任した当初から、外交・軍事専門家でないトランプ大統領の側近を情報機関のトップと交代させてまで登用することに共和党議員、民主党議員等から批判が出ていた。
NSCは米国の安全保障・外交の司令塔であり、その機能は大きく分けて3つある。
1.大統領への助言機能、2.中長期的な安全保障戦略の立案機能、3.各省庁との調整機能である。
その調整役の要となるのが大統領補佐官(国家安全保障担当)なのである。...
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バノン氏がNSCの常任メンバーに就任した当初から、外交・軍事専門家でないトランプ大統領の側近を情報機関のトップと交代させてまで登用することに共和党議員、民主党議員等から批判が出ていた。
NSCは米国の安全保障・外交の司令塔であり、その機能は大きく分けて3つある。
1.大統領への助言機能、2.中長期的な安全保障戦略の立案機能、3.各省庁との調整機能である。
その調整役の要となるのが大統領補佐官(国家安全保障担当)なのである。
今回の人事は、マクマスター大統領顧問(国家安全保障担当)とバノン首席戦略官との政権内部での人事の確執から生じたものとされ、トランプ大統領がマクマスター氏の意見を尊重した結果であるとされている。これにより、マクマスター大統領顧問(国家安全保障問題)がNSCを取り仕切ることになり、意思疎通が以前よりもうまく機能するものと考えられる。
しかし、依然として米国内政問題等に関してはバノン首席戦略官の影響力は大きいものと考えられる。なぜなら、バノン首席補佐官は米大統領選挙の本部長としてトランプ大統領を当選させた1番の功労者であり、トランプ大統領の信頼が非常に厚く、バノン氏のホワイトハウス内の部屋もトランプ大統領の執務室に1番に近い場所に置かれているという事実からも明らかである。
そもそも、今回の人事はNSCの構成メンバーが正常に戻っただけのことに過ぎない。また、ホワイトハウス当局者も今回の人事について「バノン首席戦略官の影響力後退を示すものでない」と述べている。
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