特に、英国は全産業の中で金融業の占める割合が高く、このEU離脱による金融機関への影響がもっとも懸念されている。ロンドンにある金融街シティーは、為替取引でダントツの世界NO.1であり全取引の約4割を占めている。この取引量は、ニューヨークの約2倍、東京の約7倍の規模である。
ロンドンに拠点を置く多くの金融機関は、EU域内で自由に金融サービスが提供できなくなるとの懸念から、EU域内へ拠点を移す動きが続々と顕在化してきている。...
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特に、英国は全産業の中で金融業の占める割合が高く、このEU離脱による金融機関への影響がもっとも懸念されている。ロンドンにある金融街シティーは、為替取引でダントツの世界NO.1であり全取引の約4割を占めている。この取引量は、ニューヨークの約2倍、東京の約7倍の規模である。
ロンドンに拠点を置く多くの金融機関は、EU域内で自由に金融サービスが提供できなくなるとの懸念から、EU域内へ拠点を移す動きが続々と顕在化してきている。
例えば、JPモルガン・チェース銀行はダブリン、フランクフルトなどへ最大4千人が移転する可能性がある。ゴールドマン・サックス銀行は、フランクフルトをEUの拠点とし最大1千人を移す可能性がある。HSBCホールディングスは、約1千人がパリに移る可能性がある。これらの移転計画は、ほんの一例にすぎない。
また、EU本部があるベルギ-のあるシンクタンクによると、金融機関の顧客がEU離脱後に、ロンドンからロンドン以外に移す資産は1兆8千億ユーロ(日本円で約215兆円)にも達するとの試算がある。
一方、大陸側のEU加盟国も大きな影響が避けられそうにない。ドイツ企業のアンケートによれば、英国とのビジネス関係が今後悪くなるとした企業の割合が約40%と、良くなるとした企業の割合約9%を大きく上回り、 今後英国から投資を引き上げると回答した企業が約9%もあった。
今後のEU離脱交渉は難航するとの見方が有力であり、もし期限までに合意がなされなかった場合、経過措置が採られるのかどうかが大きな焦点となりそうである。
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