【Globali】
【日本の世相と世界の動き・・No.107<教育無償化>】(2017/03/30)<教育無償化>
安倍晋三首相は3月5日の自民党大会で、「どんなに貧しい家庭に育っても進学できる、そういう日本を作ろう」と力説した。 言葉だけを捉えれば、非常に素晴らしい目標であるが、その裏にあるのが、“憲法を改正して、幼児から大学までの教育を無償化する”という、自民党憲法改正推進本部の改憲案の目玉のひとつに加えようとしていることである。 大きな理想を掲げるのも結構であろうが、まず、日本の財政事情や子供貧困率等、現実問題をひとつずつ解決していくことが必要なことと思われる。
すなわち、
●幼児から高等教育まで全てを無償化するならば、4兆円を超える財源が必要と試算される。 ●消費税増税を2017年4月から2019年10月へと、実行期日を2年半延期したことによって、約4兆4千億円の税収減となると見込まれる。 ●一方、消費税増税で充てるべき年金・医療費補助等社会保障給付費が、毎年2~3兆円のペースで増加している。 ●昨年2月24日付当コラムNo.15「貧困問題」で述べたとおり、日本の相対的貧困層(一般的な所得の半分未満、すなわち年間122万円以下の収入世帯)が全体の16.1%で、経済協力開発機構(OECD)加盟34ヵ国中ではイスラエル・メキシコ・トルコ・チリ・米国に次いで6番目の多さであり、かつ、子供のいる世帯では16.3%となり、同じく米国・スペイン・イタリアに次いでワースト4位となっている(1人親世帯の子供の貧困率でみると54.6%でワースト1位)。...
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