トランプ米大統領は2月9日に今後数週間で驚くべき税制改正を提案すると明らかにしているが、2月21日に10社以上の米製造業大手の最高経営責任者(CEO)が米国製品への減税について議会指導者に要望の手紙を提出したと
『CNBC』が報じている。この手紙では「法人税制を徹底的に見直し、輸出費用を削減し輸入に罰則を課す」ことを主張している。また、米製造業大手はロビー活動団体を設立した。またポール・ライアン米下院議員が提案する「法人税率を35%から20%に引き下げ、輸出者が課税所得から生産費用を差し引くことを可能にする一方、企業は輸入コストを控除することはできない」といういわゆる「国境税調整」を支持する。しかしこの法案は、米小売業界から、製品コストの上昇と販売価格の上昇を招くと大きな反対に直面しており、米小売業界もロビー活動団体を設立した。トランプ米大統領はどのような税制案を考えているのかまだ明らかにしていない。
2月21日、米国最大級の製造業のCEOが10人以上、法人税制を徹底的に見直し、輸出費用を削減し輸入に罰則を課すという議論の余地のある法案を採用するよう要望した。下院と上院の指導者への手紙で、これらのCEOは現在の税制がアメリカの工場労働者に不利益を与え、事業投資と経済成長を抑制していると主張した。手紙に署名した16名のCEOの中にはボーイングのデニス・ミュイレンバーグ、キャタピラーのジム・アンプレビー、レイセオンのトーマス・ケネディと、ユナイテッド・テクノロジーズのグレゴリー・ヘイズがいる。「大規模で大胆な税制改革を推進する大統領の努力を賞賛します。」「ますます増加する税負担は、米国の労働者の競争力を高めたり、経済成長を劇的に活性化したりすることはないでしょう。」と手紙で述べられている。この手紙は、30年以上にわたり米国税制の大幅な変更に関し米国政府で議論されているビジネス社会の深い部分を強調している。この手紙の後援企業は、新たに設立された団体のAmerican Made Coalition(米国製品連合)の一員であり、ポール・ライアン下院議員が提案する法案を支持する。この法案では、法人税率を35%から20%に引き下げ、輸出者が課税所得から生産費用を差し引くことを可能にする。しかし、企業は輸入コストを控除することはできない。これは、輸入商品に効果的に課税する「国境税調整」として知られている機能だ。この提案は、欧州諸国が付加価値税制のもとで輸入を扱う方法と似ており、これにより米国企業は米国製品が海外でより高価となるので長い間不満を持ち続けてきた。「この改革は世界のほぼすべての国の税制と一致しており、米国の雇用と経済成長を犠牲にして外国企業に不公正な利益をもたらす「米国製品」税を効果的に廃止することになると、 その手紙は述べている。
しかしこの法案は、米小売業界からの大きな反対に直面しており、ベストバイ、ターゲット、ギャップなどの経営者は先週ワシントンに押しかけ、米政府と米議会に自分たちの事情を述べた。彼らは、この法案が製品コストを引き上げ、さらには販売価格を引き上げることになると警告している。そして彼らは独自のロビー活動団体であるCoalition for Affordable Products(安価な製品連合)を設立した。さらに、ライアン米下院議員の法案はこれまでのところ、上院であまり好意的に受け止められていない。サウスダコタ選出のマイク・ラウンド上院議員、ジョージア選出のデイヴィッド・パーデュー上院議員の少なくとも2人の共和党員が反対した。約6人の他の議員が実際にどのように税制が機能するかについて懸念を示しており、上院で予算の調停を図る中で法案を通過させるために必要な過半数を獲得する共和党の能力を危うくさせていると主張している。
しかし、トランプ米政権はまだこの法案に重点を置いておらず、この法案は議論の中で決め手となることができる。ドナルド・トランプ米大統領は数週間以内に「驚異的な」税制案を発表することを約束したが、詳細は不明だ。米大統領選挙でトランプ氏は、法人税率を35%から15%に引き下げるとともに2桁の輸入関税を課すことを繰り返し誓った。ライアン米下院議員の法案を採用することで上記の公約を果たすことができる。ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官は、米国とメキシコを隔てる壁を作るために、国境税調整を通じて得られる収入を使うことが検討されていると語っている。トランプ米大統領は以前、ライアン米下院議員の提案をあまりにも複雑なものとして却下していた。
2月17日、ボーイングのCEOのミュレインバーグは大統領と会談した。彼は国境税調整の最も率直な提案者の1人であり、トランプ米大統領はサウスカロライナ州にあるボーイングの工場を訪問し、騒々しいキャンペーンスタイルの集会を行った。ボーイング訪問の最後にトランプ米大統領は彼がどのような税制案を考えているのかヒントをほとんど示さなかった。「ここにある飛行機のような素晴らしいモノを安価に簡単にこの米国で製造できるように、米国における事業の税金を引き下げようとしている。」と述べた。
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