昨年11月28日付
Globali「国連、対北朝鮮の追加制裁決議採択か」等で報じたとおり、2016年9月の5度目の核実験をした北朝鮮に対して、同国の外貨収入の約4分の1を稼ぐ石炭の取引に上限を設けるなど、新たな追加制裁案が米国より提出され、中国他の支持を得て採択された。しかし、かかる国際社会の非難をものともせず北朝鮮は、2月12日付
同「北朝鮮、トランプ政権挑発のミサイル発射」の中で報じたとおり、金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長は、トランプ新政権の出方を窺うように、昨年10月以降暫くの間、核・ミサイル発射実験を見合わせていたが、トランプ・安倍両首脳会談で、北朝鮮の脅威に対抗するため、日米同盟を益々緊密化していくとの共同声明に腹を立てたのか、またしてもミサイル発射に踏み切って挑発行為に出た。この行動に堪忍袋の緒が切れたのか、中国政府は突然、2017年末まで北朝鮮からの石炭輸入を完全禁輸すると発表した。中朝関係が以前より疎遠になっているとは言え、外貨収入のほとんどを中国向け輸出に頼っていた北朝鮮にとって、中国によるこの兵糧攻めは大きな打撃となるとみられる。
2月18日付米
『サン・フランシスコ・クロニクル』紙:「中国、北朝鮮からの石炭輸入取引停止」
「●中国商務部(省に相当)は2月18日、翌日以降年末までの間、北朝鮮からの石炭輸入取引を停止すると発表。
●同部は理由の詳細を明かしていないが、直近のミサイル発射実験再開や、(中国が庇護していたと思われる)金正男(キム・ジョンナム)氏暗殺事件に対して、非常に不快感を抱いたためと推測。
●なお中国は昨年4月、国連安全保障理事会制裁決議に則り石炭輸入を禁止するとしたものの、“民生用”は除くとしたため、反って昨年の石炭輸入量は+14.5%増の2,480万トンまで増加。...
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2月18日付米
『サン・フランシスコ・クロニクル』紙:「中国、北朝鮮からの石炭輸入取引停止」
「●中国商務部(省に相当)は2月18日、翌日以降年末までの間、北朝鮮からの石炭輸入取引を停止すると発表。
●同部は理由の詳細を明かしていないが、直近のミサイル発射実験再開や、(中国が庇護していたと思われる)金正男(キム・ジョンナム)氏暗殺事件に対して、非常に不快感を抱いたためと推測。
●なお中国は昨年4月、国連安全保障理事会制裁決議に則り石炭輸入を禁止するとしたものの、“民生用”は除くとしたため、反って昨年の石炭輸入量は+14.5%増の2,480万トンまで増加。
●しかし中国側は、上述どおり北朝鮮の蛮行に我慢ならなかったのか、直近のミサイル発射実施翌日の2月13日、突然100万ドル(約1億1,300万円)相当の石炭貨物の輸入通関・引き取りを拒否。」
2月19日付英
『メール・オンライン』(
『AP通信』配信):「中国、北朝鮮のミサイル発射を理由にして石炭輸入を突如停止通告」
「●中国商務部は声明文で、昨年11月の国連安保理追加制裁決議に沿うものとのみ言及。
●なお中国は、北朝鮮にとって最大の貿易相手国であるため、今回の石炭輸入禁止措置は大打撃となると推測。」
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国、今年末まで北朝鮮からの石炭輸入禁止措置」
「●北朝鮮の石炭輸出髙は、同国経済の35%を占めると推定されるため、今回の中国の輸入禁止措置は、北朝鮮にとって大変厳しい事態。
●ただ専門家の中には、このまま北朝鮮が核開発を続行すれば絶望的な結果となると中国が脅威に思い始めたためと見る向きと、一方で、今でも人口過多に難儀している中国にとって、より厳しい制裁のために北朝鮮経済が疲弊して、同国から数百万人の難民が流入して来ることを恐れ、これ以上は厳しい措置は取れないと見る向きもあり。」
2月18日付韓国
『聯合(ヨナプ)ニュース』:「中国、北朝鮮石炭の輸入停止」
「●中国商務部の声明文では、国連安保理追加制裁決議に則り、2月19日以降年末までの北朝鮮石炭の輸入停止を決定したと表明。」
同日付中国
『新華社通信』:「中国、北朝鮮からの全ての石炭の輸入停止」
「●2月19日発効の輸入停止措置は、中国商務部と中国税関総局の連名で発表。
●なお当局が言及した国連安保理追加制裁決議は、北朝鮮による昨年9月9日実施の5度目の核実験を非難して、同年11月30日に採択。」
なお、昨年11月30日に採択された国連安保理追加制裁決議の内容は以下のとおり。
・中国向け北朝鮮石炭を、2015年比▼62%減の750万トン(7億ドル、約790億円相当)
に抑えること(中国の今回の輸入停止措置は、この上限に到達したためと推測)。
・銅、銀、亜鉛、ニッケル等特定の鉱物資源も輸出禁止とすること(1億ドル、約113億円相当)。
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