韓国メディアは、北朝鮮の故金正日総書記の長男で金正恩（キムジョンウン）朝鮮労働党委員長の異母兄弟である金正男（キムジョンナム）氏が、滞在先のマレーシアでマカオに向かう途中の空港で北朝鮮の工作員とみられる女性2人に毒殺されたとみられると報道。韓国当局や北朝鮮の専門家らは、ジョンナム氏が亡くなると得をするだろう金正恩（キムジョンウン）氏が政敵候補である兄を排除するため、また政府内の戒めとして毒殺した可能性があるとしており、マレーシア当局は工作員の行方を追っている。ジョンナム氏の殺害は、北朝鮮との交渉のカードとして同氏に期待していた中国をも憤慨させるものであると報道されている。

２月１５日付『ヤフーニュース』（ＡＰ通信引用）は「マレーシア政府：北朝鮮リーダーの兄空港で殺害」との見出しで以下のように報道している。
金正恩の異母兄弟がクアランプールの空港で、駆け付けた救急隊によると化学物質をかけられ死亡した、とマレーシア政府が発表。キムジョンナム氏はマカオに向かう途中、空港の入国審査前のショッピング街で襲われ、空港の医務室に運ばれ、病院に搬送中に死亡が確認されたという。...

２月１５日付『ヤフーニュース』（ＡＰ通信引用）は「マレーシア政府：北朝鮮リーダーの兄空港で殺害」との見出しで以下のように報道している。
金正恩の異母兄弟がクアランプールの空港で、駆け付けた救急隊によると化学物質をかけられ死亡した、とマレーシア政府が発表。キムジョンナム氏はマカオに向かう途中、空港の入国審査前のショッピング街で襲われ、空港の医務室に運ばれ、病院に搬送中に死亡が確認されたという。金正恩とは疎遠で、最近はマカオ、シンガポール、マレーシアに在住していたとみられる。
韓国複数のメディアは、北朝鮮工作員女性2人に殺害されたと報道。2人はタクシーで逃亡、マレーシア警察が捜索中であるという。
米韓国経済研究所副所長で元在韓米国副大使マーク・トコラは、「ジョンナムを過去に狙った事があるとの情報もあるように、金正恩の命令で彼が殺されたとしたら驚きだ。殺害の目的は金正恩の妄想症のせいだと思われる」という。
米国務省は、ジョンナム氏死亡の訃報を聞いているとしたがノーコメント。
この報道は北朝鮮のミサイル発射成功のニュースの後に出ており、今後数日間は故金正日生誕祭の派手な行事が行われる予定。
ジョンナム氏は政治職に興味はないと公言していたが、北朝鮮のキムジョンウン体制を批判していた。
殺害の背景として最も考えられるのは、キムジョンウン氏が政敵候補を消したかったというのが可能性が高いが同時に、政府高官への戒めとも取れる。

同日付韓国『聯合ニュース』は「北朝鮮リーダーの異母兄弟暗殺は政権体制の揺らぎを示唆：米専門家」との見出しで次のように報道している。
北朝鮮の偵察局に詳しい情報筋によると、ジョンナム氏のボディガードとマレーシア警察による警備体制のループホールをついて暗殺は行われているという。
ジョージタウン大学韓国戦略国際研究センターは、「5年の体制は安泰だと言う人もいるが、先月も国家安全相を解雇しており、兄の暗殺は、北朝鮮国内での抵抗勢力の強さを示しているだろう」という。
更に、米韓国経済研究所副所長で元在韓米国副大使のマーク・トコラ氏は、「北朝鮮が暗殺依頼したのは明らか。暗殺理由は、ラテン語にいうように「誰が得をする？」で、キムジョンナムの死で得をする者は極限られている。異母兄弟キムジョンウンだ。異母兄弟に公けに逆らっていなくても北朝鮮国内にはキムジョンウン氏を殺したい者は代わりにいる」という。
それだけでなく、「この殺害は中国にとっての侮辱ともとれる」という。キムジョンナム氏は中国統治保護下にあるマカオに長く住んでいて、2012年に同氏は「北朝鮮は中国のような経済改革が必要だ」と発言している。
コメンテーターの中には中国はキムジョンナム氏を北朝鮮との交渉で中国のカードとして使おうとして重宝していたというものもいる。