ワシントン(AP): ドナルド・トランプ米大統領は、米国とカナダの間の「素晴らしい」貿易関係を賞賛し、今後それを「微調整」するに過ぎないと述べた。このコメントをカナダのジャスティン・トルドー首相は好意的に受け止めた。トルドー加首相はトランプ米大統領が北米自由貿易協定(NFTA)を再交渉することによってカナダが不利益を受けないようにするために米国を訪れていた。あらゆる点で正反対の隣国の二人の指導者は、貿易、移民といった困難な問題を最初の直接首脳会談で2月13日に話し合った。
トランプ米大統領は「カナダとは非常に素晴らしい貿易関係にあり、私たちはそれを微調整する予定だ」、「私たちは両国の利益になるようなことをやろうとしているが、それは南の国境(訳注:メキシコ)で起こっていることに比べればはるかにたやすいことだ」と記者団に述べた。
会合後の共同記者会見で、両首脳は共通の目標について強調した。トランプ米大統領はカナダと「多くの共通の利益を追求する」ことを約束した。トルドー加首相は、近隣諸国との関係はかなり複雑だが、両国間の特別な絆と深い尊敬の念を表明した。
両首脳は共通の利益を強調していたが、対照的な見解も示されていた。記者団からの質問に応じてトランプは難民と移民に対する大統領令を「私たちは間違った人を入国させることはできない」と弁護した。一方、トルドー加首相は、カナダは引き続き「開放政策を推進する」と述べた。
トルドー加首相はその後、両国間で「自分たちのやり方と異なっている」という時代があったことに言及した。しかし、彼は「カナダ人が最後に望むことは、歩み寄り、どのように自分たちを治める方法を選択したかを他の国に説明することだ」と述べた。
貿易に関して、トランプ米大統領は、カナダとの関係を「微調整する」と述べたが、「南の国境で起こっていることに比べればはるかにたやすいことだ」と述べた。また、「カナダとの素晴らしい貿易関係」に言及した。トランプ米大統領がNAFTAの再交渉でメキシコを標的にしていることでカナダが影響を受ける可能性があると懸念していたカナダ人にとっては歓迎されるコメントだった。
彼が悪天候の中、ホワイトハウスに到着したときに、トランプ米大統領は強烈な握手でトルドー加首相に挨拶をした。トランプ米大統領がカメラに手を振ることを示唆するまで2人は記者団の前で黙って座っていた。トルドー加首相は個人的な贈り物を持ってきた 。それはトランプ米大統領とトルドーの父親であるピエール・トルドー元カナダ首相が一緒に写った写真だ。トランプ米大統領はピエール・トルドーを知っており尊敬している、この写真を「非常に特別な場所」に保管すると述べた。
米国とカナダの女性経営者との円卓会議で、トランプ米大統領とトルドー加首相は、女性の労働力に焦点をあてたタスクフォースを発表した。トランプ米大統領は、経済が「女性が働き、繁栄できる」場所であることを保証することが重要だと述べた。トルドー加首相は、女性はビジネスで成功するための障壁を乗り越えなければならないと強調した。トランプ米大統領の娘イヴァンカ・トランプ氏がこの会議に出席し、参加者の募集と議題の設定を手伝った。注目を集めた会合は彼女の政策的な影響力が高まっている証拠だ。
トルドー加首相(45歳)とトランプ米大統領(70歳)は、世界観が大きく異なっている。トルドー加首相は自由貿易を支持し、シリアの4万人の難民を歓迎するリベラルだ。彼は自分自身を男女同権主義者と呼び、内閣の50%は女性だ。トランプ政権には女性がほとんどいない。彼は貿易に保護主義的姿勢をとり、移民と難民の流入を断ち切りたいと考えている。
裁判所により停止させられているイスラム系7ケ国の人々の米国への入国を一時的に止めるトランプ米大統領の大統領令は、トルドー加首相との二国間会談の際に出ているかもしれない。しかし、トルドー加首相は会談を共通の経済的利益に焦点を当てることが期待されている。
カナダの輸出の75%以上が米国に輸出され、米国の輸出の18%がカナダに輸出されるため、米国との関係は重要だ。カナダ人の間では、NAFTAの再交渉でトランプ米大統領がメキシコを標的にしているようにカナダもそうなるのではとの恐れがある。
トルドー加首相とトランプ米大統領、ファース・ドーターとの女性のビジネスにおける緊密な協力は、トランプ米大統領がカナダ経済を損なう可能性のある保護貿易主義的な措置を制定するだろうというカナダ人の心配を和らげるだろう。トランプ米大統領がメキシコやオーストラリアの指導者との間で争っているようなことをカナダとの間でも起こすのではとの懸念も緩和することができるだろう。
カナダ政府関係者は、トルドー加首相が就労女性の問題を議題の重要な部分であり経済成長計画のカギと見なしているため、タスクフォースを提案したと述べた。
トロント大学のネルソン・ワイズマン教授は、「カナダが就労女性の問題を提案することは賢明だ」、「それはNAFTAへの注目をそらし、トランプ米大統領からすればトランプ米大統領に対するイメージを軟化させるのに貢献することができる。彼は女性に対して問題を抱えている」と述べた。
トルドー加首相の前外交政策顧問であったロナルド・パリスは、カナダが経済的に締め出されないようにトルドー加首相がトランプ米大統領との関係を構築する必要があると述べた。「優先順位は、カナダの米国市場への安全かつ確実なアクセスの確保と、国境を越えたサプライチェーンを維持することである」とパリスは語った。
トルドー加首相は何ヶ月もトランプ米大統領との首脳会談の準備していた。彼はまた、米国議会の指導者と会う予定だ。
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