トランプ大統領は自動車産業の貿易不均衡を訴えており安倍首相との首脳会談でも話合いの焦点の一つとなるともみられ、1980年代の自動車貿易摩擦の再燃かとの懸念も起きている。世界的に自動車販売が低迷する中(中国などの経済発展国での販売は増加)日本の販売台数も減っているが、輸入車の割合はむしろ増えているという。欧州のドイツ車(メルセデスやVW)が最も人気で、欧州のメーカーは日本の安全基準や嗜好に合うよう仕様変更に努力しているが、米国車は先月フォードが日本撤退をするなど市場が1%未満で存在感が薄い。米国車は右ハンドルにするなど日本に合う仕様変更に投資することが最も効果があるが、首脳会談では貿易不均衡への攻撃をどう「かわす」かが大きな課題となっている。
2月10日付
『ロイター通信』は「トランプ・安倍首脳会談では日本のコンパクトカー嗜好が痛い所」との見出しで以下のように報道している。
日米首脳会談を機に、日本車の対米貿易黒字に焦点があたっているが、貿易均衡を図るのは1980年代と同じくらいに厳しい。トランプ米大統領は会談中又はゴルフで安部首相に貿易均衡を要求する可能性があるが、日本で米国車のような大きな車やトラックが売れない事実は動かしようがないだろう。...
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2月10日付
『ロイター通信』は「トランプ・安倍首脳会談では日本のコンパクトカー嗜好が痛い所」との見出しで以下のように報道している。
日米首脳会談を機に、日本車の対米貿易黒字に焦点があたっているが、貿易均衡を図るのは1980年代と同じくらいに厳しい。トランプ米大統領は会談中又はゴルフで安部首相に貿易均衡を要求する可能性があるが、日本で米国車のような大きな車やトラックが売れない事実は動かしようがないだろう。日本では大都市などでは特に国産の軽自動車が人気で市場の1/3以上を占める。トヨタやホンダでも、米国の人気のモデルを日本の消費者に売るのは難しい。SUV車は日本では大きすぎる。2015~16年2年間で日本への米国車輸入はわずか13000台、そのうち3/4はクライスラーのジープSUVで、フォードは先月日本撤退を発表、昨年の売り上げはわずか2400台だった。
ジャガー・ランドローバー日本代表は、日本での米国車不振は日本の閉鎖的市場の問題というより50年間米国が日本市場への開拓を怠ったからだと指摘。日本での国産車率は9割で米国の国産車率はわずか45%。
木曜、自動車製造拠点の州の超党派上院議員が、大統領に為替操作と自動車無課税を訴えた。
2月9日付米国
『ニューヨークタイムズ』は「米国は日本に米国車輸入増を期待、日本の消費者は欲しくない」との見出しで次のように報道している。
トランプ氏は米国車製造を日本は受け付けようとしないと批判、このような批判は自動車産業中心の日本を驚かせ、安倍首相との会談ではこの貿易戦争をどう「かわす」かが大きな課題となっており、年金をトランプ氏のインフラ計画に投資するなどして貿易不均衡をなんとか和らげようと必死である。
しかし、日本人にとりこの批判は可笑しなものとして映っている。トヨタやホンダが大半を占める日本では米国車好きは珍しい。米国車は燃料不足で故障する悪いイメージが長くつきまとっており、ディーラーも売込をしないという。日本を走る車のわずか0.3%。トヨタは大市場カリフォルニアだけで同じだけの車を売る。
欧州ブランドのメルセデスベンツ、BMW等(ほとんどは高級車)は6%の市場を占める。ドイツ車は人気。だが、欧州メーカーも日本の税金と安全基準などの規制には不満を持っており、貿易規定の会議では構造的問題を指摘している。例えばヘッドライトは、多くの国では日中も安全のために点灯が義務づけられておりエンジンをかけると自動点灯するが、日本では逆に日中の常時点灯は違反となっている。そのため外国車は日本輸出のために自動点灯機能を停止する必要が生じるためコスト面で製造をあきらめることになるという。
ここで欧州と米国の対応に違いがみられる。欧州メーカーは積極的に宣伝し右ハンドルにするなど日本向けに仕様変更するのに対し、米国メーカーはその投資に消極的。フォードは日本を撤退し中国に市場を求めた。日本で唯一売れているジープは右ハンドルで売れているので、右ハンドルにするのが鍵である。
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