トランプ米国大統領が1月27日に出した、一時的にイスラム教徒の多い7ヶ国の国民の入国禁止や難民の受け入れを停止するという大統領令が国際的に波紋を広げている。2月8日の
『CNBC』では、この大統領令よりも前に英王立国際問題研究所が欧州10ケ国の国民を対象に行ったイスラム諸国からの移民に関する調査結果を紹介している。意外なことに移民問題もひとつの要因としてEU離脱の国民投票を行ったとされる英国で、回答者の大多数がイスラム系移民を歓迎する準備をしているとされる数少ない国のひとつとなっているのが興味深い。
欧州10ケ国の1万人以上の人々を対象に実施した調査によれば、イスラム系移民に対する強い国民の反対が明らかになった。
英王立国際問題研究所(訳注:英国のロンドンに本部を置く英国のシンクタンク)がオンラインで調査を実施し、「主としてイスラム諸国からの更なる移民をすべて停止すべきである。」との意見に対して、回答者が自分の考えを回答した。
調査対象の欧州10ケ国のうち、平均55%の人々がこの意見に賛成した。...
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欧州10ケ国の1万人以上の人々を対象に実施した調査によれば、イスラム系移民に対する強い国民の反対が明らかになった。
英王立国際問題研究所(訳注:英国のロンドンに本部を置く英国のシンクタンク)がオンラインで調査を実施し、「主としてイスラム諸国からの更なる移民をすべて停止すべきである。」との意見に対して、回答者が自分の考えを回答した。
調査対象の欧州10ケ国のうち、平均55%の人々がこの意見に賛成した。 25%は賛成も反対もしていないが、20%がイスラム系移民の受け入れを継続すべきだと考えている。
ポーランドはイスラム系移民の停止措置に対して賛成の割合が最も高く回答者の71%に上った。 オーストリアはこれに迫る65%だった。
この調査は、トランプ米国大統領が出した、一時的にイスラム教徒の多い7ヶ国の国民の入国禁止や難民の受け入れを停止するという大統領令の前に実施されたものだ。
調査結果を更に分析すると、すでに国に定住しているイスラム系移民の人数と調査結果とはほとんど相関関係がないことが分かった。
調査結果から、オーストリア、ポーランド、ハンガリー、フランス、ベルギーでは、イスラム系人口の数が非常に違うにもかかわらず、イスラム系諸国からの更なる移民への国民の反対が特に強いことがわかる。この調査はまた、移民を拒否する国々における国内政治の潜在的な影響について強調している。「これらの国々のほとんどは、急進的な右翼は程度の差こそあれ、政治的権力として定着しており、2017年かまたはそれ以降に行われる選挙で、イスラム系移民に対する不安を利用しようとしている。
回答者の大多数がイスラム系移民を歓迎する準備をしているのはスペインと英国の2ヶ国だけである。
また、調査では特に現役を引退した退職者など高年齢層でイスラム系移民に反対する感情が高いことがわかった。教育歴もまたひとつの要因となっている。 中退者の59%はイスラム系移民の抑制に賛成だったが、一方、大学卒業者では半分以下しかイスラム系移民の抑制に賛成でない。
2016年に行われたイプソス・モリ社の世論調査では、ヨーロッパ人が自国に住むイスラム系住民の数を大幅に過大評価する傾向があることがわかった。この調査では、フランス国民は自国に住むイスラム系住民の数を実際の4倍と認識していたが、英国民は実際の3倍になると推測していた。
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