ドナルド・トランプ米国大統領は、米国の巨額の貿易赤字を縮小することで経済を強化し、米国により高い賃金の雇用創出をもたらすことを約束したが、問題はすぐに解決されそうにない。
2016年の貿易赤字はわずかに増加し、4年ぶりの高水準である5,020 億ドルとなり、 41年連続の赤字が続いた 。 米国の国勢調査によると、米国が最後に貿易黒字だったのは1975年だった。
トランプ政権にとって問題は単純だ。...
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ドナルド・トランプ米国大統領は、米国の巨額の貿易赤字を縮小することで経済を強化し、米国により高い賃金の雇用創出をもたらすことを約束したが、問題はすぐに解決されそうにない。
2016年の貿易赤字はわずかに増加し、4年ぶりの高水準である5,020 億ドルとなり、 41年連続の赤字が続いた 。 米国の国勢調査によると、米国が最後に貿易黒字だったのは1975年だった。
トランプ政権にとって問題は単純だ。 米国はできるだけ多くのものを作るが、製造業の国内経済に占める割合は急激に減少している。
米国人は自動車、携帯電話、コンピュータ、テレビ、玩具、衣類を他国から購入しており、その数は米国内から購入するよりもはるかに多い。自動車を除いて、もはや米国製のものは非常に少ない。
1990年代後半以降の一連の自由貿易協定と中国の世界貿易への参入は生産シフトを加速させ、米国の製造業の雇用が減少した。 製造業は現在、約1,230万人の米国人を雇用しているが、1999年末には1,700万人を超えていた。
貿易だけが製造業の雇用の減少の唯一の原因ではない。 新技術の採用により企業の生産性が向上し、必要な労働者数が減少している。
いずれにしてもトランプ政権はすでに、国内最大級の企業の著名なリーダーとの会合を通じて、製造業やその他の仕事を米国内に取り戻すことを熱心に推進している。 トランプ大統領は、米国企業を米国内にとどまらせ、より多くの外国企業を誘致するために、法人税の引き下げと規制緩和を求めている。
米国の製造業促進の貿易政策を長年主張してきたアラン・トネルソン氏は、トランプ政権を、貿易赤字の削減を主目的として明示した初めての政府であると評価している。これまでの政権は、あまりにも長い間、米国の産業基盤が侵食される問題を無視したり、取り上げてこなかったとトネルソン氏は述べている。
国内生産を増加させようにとの政治的な働きかけが世界中の国で起きており、企業のCEOがそういったメッセージを各国から受けているとトネルソン氏は考えている。 彼は、いくつかの進展がスピーディーにやって来ると考えている 。彼は、北米自由貿易協定(NAFTA)として知られる1994年の貿易協定後、自動車メーカーがメキシコへかなり生産を移転したと指摘している。
しかし、ゼネラル・モーターズ(GM)が、先月、メアリー・バラCEOが指摘したように、大規模な工場を作るは大量の資金を必要とし、企業の慎重な計画、経営判断には何年もかかる。
トネルソン氏は、トランプ大統領が望んでいるほど速く事態が進展するとは考えづらいことを認めている。
ウェブサイト「RealityChek」の創設者であるトネルソン氏は、「長い間かけて起きたこのように大きな問題が、すぐに転換するのは難しいと述べている。
2016年に米国は実際7,500億ドルの物品の貿易赤字となった。 しかし、米国はまた、観光業、金融アドバイス、知的財産権などのサービスや、外国企業が有料でライセンスしている特許製品で大きな黒字となっている。
サービスの黒字が2016年に2,478億ドルとなったおかげで、物品とサービスを合計した全体の赤字総額は5,020億ドルに減った。
米国はサービス収支に大きな強みがあるが、大半の国はこういった最もデリケートな部門の国内市場を開放してウォール街との競争にさらすのを嫌っており、胡桃を割るくらい難しいとトネルソン氏は述べている。
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