既報どおり、トランプ政権の新閣僚のうち、上院本会議で承認されたのは、マティス国防長官・ヘイリー国連大使他まだ数名である。そして漸く、ティラーソン国務長官が、僅差ながら承認を得て正式に就任した。親ロシア派ということでロシアは歓迎しているが、トランプ大統領同様対中国強硬派のため、中国は慎重に出方を見極めようとしている。一方、司法長官代理解任騒ぎがあった司法省では、セッションズ長官の上院本会議での承認取得がまだで、また、ムニューチン財務長官、デボス教育長官などが依然民主党上院議員の抵抗戦術の前に、上院各委員会での承認が揉めている状況である。
2月1日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「共和党、2人の閣僚候補についての上院本会議承認取得のため委員会を強行突破」
「●民主党上院議員が、ロシア寄りだとして国務長官指名に難色を示していたレックス・ティラーソン前エクソン・モービル最高経営責任者は、2月1日の上院本会議で、56対43票の僅少差ながら承認を取得し、同日正式に同長官に就任。
●しかし、財務長官指名のスティーブン・ムニューチン氏及び厚生長官指名のトム・プライス氏については、民主党上院議員が、両氏の資産形成に疑念があるとして、2月1日の上院金融委員会への出席を拒否。...
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2月1日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「共和党、2人の閣僚候補についての上院本会議承認取得のため委員会を強行突破」
「●民主党上院議員が、ロシア寄りだとして国務長官指名に難色を示していたレックス・ティラーソン前エクソン・モービル最高経営責任者は、2月1日の上院本会議で、56対43票の僅少差ながら承認を取得し、同日正式に同長官に就任。
●しかし、財務長官指名のスティーブン・ムニューチン氏及び厚生長官指名のトム・プライス氏については、民主党上院議員が、両氏の資産形成に疑念があるとして、2月1日の上院金融委員会への出席を拒否。
●そこで共和党は、民主党議員欠席のまま、14対0票の強行採決を行い、上院本会議での承認申請へ移行。
●一方、ドナルド・トランプ大統領による幹部解任騒ぎがあった司法省では、同省長官指名のジェフ・セッションズ氏について、上院司法委員会は11対9で可決し、承認手続きは上院本会議へ移行。
●また、環境保護局長官指名のスコット・プルイット氏については、民主党議員が上院環境・公共事業委員会を欠席したため、承認投票は延期。」
2月2日付米
『ワシントン・ポスト』紙:「トランプ氏、恐怖の巣窟と化した国務省監督をティラーソン氏に委託」
「●僅少差ながら漸く上院本会議の承認を取得したティラーソン新国務長官は2月2日、同省で執務開始。
●しかし、就任初日に、イラン幹部が米政権の干渉を一切拒否するとの強硬意見を述べた旨の情報が、マイケル・フリン国家安全保障担当大統領補佐官のところに飛び込んできて混乱。
●更に、先週イエメンでは、同国駐留の米海軍特殊部隊が反米勢力過激派に襲撃され、同隊員と市民が犠牲になる事件が発生。
●そこで、ティラーソン新長官には、恐怖の巣窟(情報漏洩、大統領令に異議を唱えることによる混乱、ベテラン高官辞任による機能不全)と化した国務省の立て直しが最初の大きな任務。」
2月3日付英
『メール・オンライン』(
『ロイター通信』配信):「ティラーソン氏、就任初日に意見の相違について訓示し、また、メキシコ・カナダ高官と電話会議」
「●ティラーソン新国務長官は、登庁初日から多忙な執務。
●まず、①拍手で迎えた省庁職員には、省内に意見の相違があっても一つのチームとして機能するよう努めることを求め、②メキシコとカナダの外相各々と電話会議を行い、③訪米中のドイツのシグマール・ガブリエル外相と会談。
●①は、トランプ大統領の入国禁止措置に反対する外交官・省庁職員900人余りが抗議文に署名していることが背景、②は、2月2日にトランプ大統領が表明した、北米自由貿易協定(NAFTA)改定交渉の早期開始についての前哨戦、また、③は、北大西洋条約機構(NATO)及びイラン核合意関連の協議と推測。」
2月2日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「ティラーソン国務長官就任で、米ロ間は“より安定した関係”に」
「●当ニュースが、政治評論家かつニューヨーク・タイムズ紙の著名寄稿者であるダグ・ウィード氏にインタビューしたところ、同氏は、ティラーソン氏の国務長官就任は、米ロ関係にとって非常に良いことだとコメント。
●何故なら、特にこれまでの米ロ関係では、お互いの誤解等でギクシャクしたことが多々あり(例えば、ウクライナやクリミア半島併合問題等)、ロシア人気質や、もっと重要事項であるロシアの歴史を良く理解しているティラーソン氏の登場で、関係改善が期待できるため。」
一方、同日付中国
『中央テレビ』(
『新華社通信』配信):「米上院本会議、ティラーソン氏の国務長官就任を承認」
「●ティラーソン氏は、承認取得のための上院公聴会で、親ロシア派との下馬評を否定し、ロシアは米国にとって“危険な”国で、対ロシア制裁は継続すべきであり、また、NATO同盟の存続の必要性を証言。
●しかし、同公聴会で南シナ海問題に関して、同氏は、中国による人工島での恒久施設建設に反対し、また、人工島への中国のアクセスを認めないと証言。
●この発言に対して、崔天凱(チュイ・ティアンカイ)駐米大使は即座に、米国の“重鎮”は発言に注意すべきであるし、米国に無関係な他国領海に関わる争議について、もっと責任ある対応を取る必要があると非難。」
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