自由でフリーな「F」をつけて、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を急ぐ意向を示しているトランプ米大統領であるが、NAFTA脱退によるメキシコとの自由な貿易による新関税で打撃を被るのはむしろ米国の穀倉地帯が広がるアイダホ州などの農業州やテキサス州など米国ほぼ半分の州であるという。また、メキシコからの輸入品であるテキーラ、アボガド、ベリー類は値上がりし、メキシコ有数の産業である銀鉱山の雇用にも国境税導入により打撃があれば、現地の雇用は不安定化し、むしろ難民が増えるのではとの懸念もされている。
2月2日付米国
『ニューヨークタイムズ』(AP通信引用)は「メキシコの輸出品はアボガドやテキーラだけでない」との見出しで以下のように報道している。
米国の国境税が課せられると値上がりするのはテキーラやビールやアボガドだけではない。
メキシコは世界有数の冷蔵庫や液晶テレビ、車両の輸出国で、ベリー類や野菜や牛肉などが米国に輸入されている。
メキシコのペニャニエト大統領がメキシコ製品促進イベントで「メキシコは80年代は輸出の8割が石油だけと原料のみだったが、自由貿易により30年で様変わりし発展した」と述べている。...
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2月2日付米国
『ニューヨークタイムズ』(AP通信引用)は「メキシコの輸出品はアボガドやテキーラだけでない」との見出しで以下のように報道している。
米国の国境税が課せられると値上がりするのはテキーラやビールやアボガドだけではない。
メキシコは世界有数の冷蔵庫や液晶テレビ、車両の輸出国で、ベリー類や野菜や牛肉などが米国に輸入されている。
メキシコのペニャニエト大統領がメキシコ製品促進イベントで「メキシコは80年代は輸出の8割が石油だけと原料のみだったが、自由貿易により30年で様変わりし発展した」と述べている。メキシコはその気候と農業従事者の低賃金が強み。農家の家系だった元メキシコ大統領ビセンテ・フォックスはもう一つの輸出品マリファナの栽培も考え、「もし合法なら、農家出身の私は国の産業として認めるつもりだった」という。
昨年の米国輸入1位は車、トラックなどの車両や電子機器、医療機器等だった。米国消費の77%のアボガド、トマトの3割強がメキシコ産である。
銀の産出もトップクラスだが多くは外資企業である。鉱山は農業や工場組立工のように、仕事が無ければ難民となるような低学歴の人でもよい賃金が得られるが、もし国境税が課せられると、このような工員を難民に回帰させてしまうやも知れない。
2月4日付米国
『エコノミスト』は「メキシコとの貿易摩擦で打撃を受けるのは農家とテキサス州住民」との見出しで次のように報道している。
メキシコが米国産を買うより米国がメキシコ産を買う方が多い、ということがトランプの怒りを買っている。そしてNAFTAの再交渉にあたっているのだが、NAFTA撤退で損を被るのは米国である。大好きなアボガドが手に入らないという問題でなく、米国生産者にしわ寄せがいく。
5000品目への関税で州ごとの影響をみると、アイダホ州、ネブラスカ州、アイオワ州などの農業州が最も影響を受ける。例えば、アイダホ州とネブラスカ州が国境税平均12.5%を支払わねばならず、麦、イモ、乳製品への関税の撤廃は、GDPの半分弱がメキシコへの輸出に頼るアイダホ州の15%負担増となる。
他州の経済も打撃を受けるが、テキサス州が最大。平均関税3%だが、メキシコへの輸出はGDPの6%でテキサスのチキンへの関税は最大の1億7千ドルとなるため、GDP率からいうと、テキサス州への影響が最大となる。ミシガン州も状況は似ており、車や部品のメキシコへの輸出が(米国へ戻されているが)5%平均関税だが、合計額は41兆ドルと痛い出費となる。
だが軒並み郊外の米国人は共和党を支持しているようで、関税が上がる25州のうち4州だけが民主党ヒラリー・クリントンを支持した州だった。
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