既報どおり、トランプ新大統領が指名した閣僚15名の内、ジェームズ・マティス国防長官、ジョン・ケリー国土安全保障長官しか上院議会で承認(注後記)されておらず、2009年のオバマ大統領就任時には、国務長官、財務長官、国防長官等重要閣僚7名が承認されていたときとは大違いである。しかし、議会多数派の共和党も、新大統領就任後何日間も重要閣僚が決定されないことに危機感を抱いたのか、反トランプを表明する共和党議員はもとより、徹底抗戦する民主党議員にも数による攻勢をかけ、徐々にではあるが閣僚人事承認に動き出している
1月24日付米
『Foxニュース』(
『CNN』配信):「ニッキー・ヘイリー氏、容易に国連大使指名承認獲得」
「●上院本会議は1月24日、ドナルド・トランプ新大統領が指名していた国連大使候補のニッキー・ヘイリー氏(サウスカロライナ州知事)について、96対4の絶対多数で承認。
●これで漸く4人目の閣僚人事承認(編注;省長官は15名だが、国連大使は閣僚級人事)となったが、共和党側は、2009年のバラク・オバマ大統領就任時には7名の閣僚人事を承認して協力していたとして、今回の民主党側抵抗を非難。...
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1月24日付米
『Foxニュース』(
『CNN』配信):「ニッキー・ヘイリー氏、容易に国連大使指名承認獲得」
「●上院本会議は1月24日、ドナルド・トランプ新大統領が指名していた国連大使候補のニッキー・ヘイリー氏(サウスカロライナ州知事)について、96対4の絶対多数で承認。
●これで漸く4人目の閣僚人事承認(編注;省長官は15名だが、国連大使は閣僚級人事)となったが、共和党側は、2009年のバラク・オバマ大統領就任時には7名の閣僚人事を承認して協力していたとして、今回の民主党側抵抗を非難。
●これに対して民主党側は、トランプ大統領が指名した閣僚候補の中には、出身企業や業界との関係から、利益相反がないかどうか確認する必要があるため慎重にならざるを得ないと反論。
●1月24日の上院委員会の指名候補者公聴会では、トム・プライス下院議員(厚生省長官指名)、ミック・マルバニー下院議員(行政管理予算局長指名)の聴聞が大揉め。
●また、上院エネルギー委員会では、テキサス州リック・ペリー知事(エネルギー省長官指名)及びライアン・ジンキ下院議員(内務省長官指名)の承認についての票決を中止。
●一方、上院商務委員会は、投資家のウィルバー・ロス氏(商務省長官指名)及びベン・カーソン神経外科医(住宅都市開発省長官指名)を賛成多数で承認し、上院本会議の承認申請。」
同日付ロシア
『ロシア・インサイダー』オンラインニュース:「ティラーソン氏、新保守主義のルパート・ルビオ議員の翻意で第一関門突破」
「●上院外交委員会は1月23日、11対10票(賛成票は全共和党議員、反対票は全民主党議員)で漸くレックス・ティラーソン氏(エクソンモービル会長)の国務省長官指名を承認。
●上院は共和党が多数派であるので、本会議での承認取得が確実視。
●ルパート・ルビオ上院議員は、ティラーソン氏がロシア寄り過ぎると公聴会で疑問を呈して承認に抵抗していたが、共和党出身大統領の指名に最後まで抵抗するのは得策でないと判断。」
同日付英
『メール・オンライン』(
『ロイター通信』配信):「ティラーソン氏、米国務省で初の概況報告を受ける」
「●レックス・ティラーソン氏は1月24日、国務省を訪れて初めて概況報告を聴取。
●同氏は前日、上院外交委員会においてぎりぎりで承認取得。」
同日付英
『ニューズウィーク欧州』誌:「トランプ氏指名のロス氏とチャオ氏が承認獲得」
「●上院の商務・科学・運輸委員会は1月24日、トランプ新大統領が指名した投資家のウィルバー・ロス氏(商務省長官指名)及びエレーン・チャオ元労働長官(運輸省長官指名)を賛成多数で承認。
●両氏とも、共和党が多数派の上院本会議での承認取得が確実。
●ロス氏は、トランプ新大統領が推す北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉等に力を発揮すると期待され、また、チャオ氏の場合、トランプ政権が重要政策としたインフラ投資促進政策のうちの道路・橋の建設計画などにおいて、共和党のみならず民主党からも支援を獲得できると期待。」
(注)上院議会承認:大統領が指名した各省長官などの官吏を承認。他に条約の批准承認権も有り(3分の2以上の賛成)。なお、下院は予算案など歳入に関する法案を先に審議する権利を有す。
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