中国の国家統計局が発表した2016年の中国の国内総生産(GDP)成長率は、前年比+6.7%と2015年実績の+6.5%より伸びが鈍化しており、6年連続で減速している。中国政府は、当初目標値の+6.5~7.0%の範囲内であり、依然他先進国より確かな成長を遂げており、世界経済を牽引する原動力となっていると強気である。しかし、1月16日付Globali「中国貿易総額2年連続減少で世界市場混沌」で報じたとおり、2016年の輸出高が前年比▼7.7%も落ち込んだ中国にとって、対中国強硬派のトランプ氏が大統領に就任したこともあり、2017年は益々厳しい状況になるとみられる。
1月20日付米
『ニューズウィーク』誌:「中国の経済成長率、26年振りの低水準」
「●中国政府は1月20日、2016年のGDPが前年比+6.7%だったと発表。
●これは2015年の+6.9%より低く、1990年代以来の低レベル。
●昨年第4四半期(10~12月期)は+6.8%と、第1~3四半期より成長率が高かったが、2017年以降もこの調子が継続するかは、対中国強硬派のドナルド・トランプ氏が新大統領に就任したことから、不確かな状況。」
同日付英
『メール・オンライン』(
『AP通信』配信):「トランプ氏の貿易不均衡是正発言より、中国の2016年成長率は鈍化」
「●昨年第4四半期は、政府の公共投資や不動産業界の持ち直しもあって+6.8%成長となったが、通年では+6.7%と1990年代の+3.9%以来の低成長率。
●中国政府としては、内需拡大によって成長率を維持したい意向だが、これまで中国GDPは輸出拡大によって支えられてきており、対中国強硬派のトランプ氏の大統領就任を懸念して、2016年の輸出高が▼7.7%も下落し、更に今後の対米輸出への悪影響も必至。
●内需についてみると、2016年の不動産販売高は+22%と好況だったが、不動産バブルを警戒して当局から規制の動きがあること、小売業、特にネッツ通信販売高が+26.2%も伸びたが、2015年の+33.3%に比べて減速していること等より、2017年の見通しは不確か。
●なお、国際通貨基金(IMF)は今週、中国政府の景気刺激策に期待して、中国の2017年成長率を+6.5%に0.3%上方修正。」
同日付フランス
『AFP通信』:「先行き不透明で中国の2016年成長率減速」
「●中国が発表した2016年成長率は、特に対中国貿易是正を訴えるトランプ氏が大統領に就任することを懸念して、2015年実績より減速。
●習政権は、不確かな世界経済を相手にする輸出に頼るより、ハイテク産業などへの構造改革によって内需拡大に重きを置く政策を取る考えであるが、かつての重工業政策推進による過剰投資に伴う工業製品が国内で捌ききれず、政策転換の足かせ。
●国家統計局の宁吉喆(ニン・チーチェ)理事は、2020年までの5ヵ年計画で目標値とした年平均+6.5%達成に向けて、初年度として良いスタートの数値だと強調しながらも、国内外の経済状況は複雑で厳しいことは十分考慮していくと発言。」
同日付ロシア
『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「中国統計局発
表の2016年GDP成長率が過去26年で最悪」
「●中国統計局が発表した2016年GDP速報値は74兆4,100億人民元(10兆8,400億ドル、約1,246兆6,000億円)で、前年比+6.7%は過去26年で最も低い成長率。
●農業を除く固定資産投資は59兆6,500億人民元(8兆6,900億ドル、約999兆3,500億円)と+8.1%に止まり、不動産開発は急回復したものの、民間企業投資は僅か+3.2%と減速。
●小売り売上高は33兆2,300億人民元(4兆8,400億ドル、約556兆6,000億円)で+10.4%。」
同日付中国
『新華社通信』:「中国の経済成長率は6.7%で依然世界の牽引役」
「●国家統計局の2016年GDP成長率は+6.7%と、2015年より少々下がったものの、依然政府目標値の6.5~7%の範囲内。
●IMFは今週初め、前回の予想値を見直し、2016年成長率を6.7%と0.1%、また、2017年を6.5%と0.3%それぞれ上方修正。
●IMFの2016年世界経済成長率見通しは僅か3.1%であったことから、中国の成長率が世界経済の3分の1以上貢献を意味。」
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