【Globali】
トランプ次期大統領に翻弄されるデトロイトモーターショー(2017/01/10)
1月9日より米デトロイトにおいて北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)が開催されている。本来ならばこのショーでの話題の中心は新しい自動車のデザインや、性能である筈であるが、今年のショーは従来とは違っている。トランプ次期大統領が自動車メーカーのメキシコ工場新設計画を相次いで批判しているため、メーカー各社はその対応に追われているためだ。トヨタ自動車の豊田社長が今後5年間に米国で100億ドル(1.1兆円)の投資を発表したほか、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のマルキオンネ最高経営責任者(CEO)も10億ドルを米国に投資すると発表した。トランプ氏の言わば恫喝路線が今のところ成功を収めているわけであるが、未だ就任もしていないのにこれだけの騒ぎになっている。就任後世界はどれほどの混乱に見舞われるのだろうか。
1月9日付
『ニューヨークタイムズ』は、「トランプ次期大統領の業界批判でデトロイト自動車ショーへの注目に変化」という見出しで、トランプ次期大統領は米国最高の自動車ショーに出席はしてないが、メキシコからの輸入品に関税を課すという同氏の公約は、ショーの注目点をどんな新車が展示されているかから、何処で作られるかに替えてしまったと報じた。フォードは月曜日これまでメキシコに生産を奪われて来た米国の工場で新しいピックアップトラックとSUVを生産する予定であると発表したが、日曜日フィアット・クライスラーは米国で10億ドルを投資し、2千人の雇用を創出すると発表した。...
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1月9日付
『ニューヨークタイムズ』は、「トランプ次期大統領の業界批判でデトロイト自動車ショーへの注目に変化」という見出しで、トランプ次期大統領は米国最高の自動車ショーに出席はしてないが、メキシコからの輸入品に関税を課すという同氏の公約は、ショーの注目点をどんな新車が展示されているかから、何処で作られるかに替えてしまったと報じた。フォードは月曜日これまでメキシコに生産を奪われて来た米国の工場で新しいピックアップトラックとSUVを生産する予定であると発表したが、日曜日フィアット・クライスラーは米国で10億ドルを投資し、2千人の雇用を創出すると発表した。ゼネラル・モーターズ(GM)のバーラCEOはメキシコ工場における生産計画について変更の予定はないと語った。
FCAのマルキオンネCEOは、何にも増して自動車業界は米国とメキシコの間の自由貿易を認めている北米自由貿易協定(NAFTA)がどうなるのか知る必要があると語った。一方トランプ氏はFCAとフォードが米国での雇用増加を決めたことに対してツイッター上で謝意を表明した。FCAのCEOは米国での生産や雇用の増加には意欲的であるが、メキシコでの投資は不透明であるという。またメキシコの自動車産業は米国での需要を満足させるために整備さされており、米国の市場がなくなれば存在理由は薄くなるという。GMのCEOはメキシコへの投資は2~4年前に決定され既に多くの資本を投資している長い時間を掛けた事業であり、その計画を変更するのは遅すぎると言う。しかし同CEOは新トランプ政権の雇用増加方針に協力する用意はあり、実際GMはトランプ政権の方針について相違点よりも共通点の方が多いと語っていると報じている。
1月9日付
『ロイター通信』は、「自動車業界経営者、トランプ氏の政策に配慮して米国投資を強調」という見出しで、デトロイト自動車ショーに出席している世界の自動車メーカーの経営者は、トランプ次期大統領のメキシコでの生産に対する批判に配慮して米国での投資を強調していると報じた。今回のショーではトランプ氏が米国自動車産業の雇用に注目している点や今後どのような政策を導入するのか不透明な点が、業界経営者の話題となっている。GMを始めホンダ、ダイムラーベンツまでこのショーを利用して米国での新規投資を強調している。トヨタは今後5年間に米国に100億ドルを投資する。ホンダは2018年にハイブリッドモデルを米国の既存の工場で生産開始するほか、ジョージア州の変速器工場で投資を増加する。ダイムラーはアラバマ州の工場で13億ドルの新規投資を行いSUVの増産を行う計画を持つ。フォルクスワーゲンは2015年から2019年の間に米国で70億ドルの投資を行う。同社は電気自動車SUVの生産を米国、メキシコのどちらで行うか検討中である。FCAは米国でのトラックの生産を拡張する。以上のとおり各メーカーが発表したと報じている。
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