中国は、少子高齢化で先を行く日本をものすごい勢いで追っている。その顕著な例として、2022年の婚姻数が約683万組と、ピークだった2013年の約1,300万組から半減し、当局が統計を公表し始めた1986年以降で最低値となっている。そうした中、高い失業率や生活費の高騰、更には3年続いた「ゼロコロナ政策」の影響もあって、婚姻カップル自身も従来の派手な結婚式を敬遠していることから、中国のブライダル産業が大打撃を受けている。
9月19日付
『ロイター通信』は、中国における少子高齢化に伴う婚姻数激減や、コロナ禍等による景気後退によって結婚式を地味に行うカップルが増えたため、ブライダル産業が大打撃を受けていると報じた。
中国のブライダル産業は、かつて5千億ドル(約74兆円)にも達する業界規模を誇っていた。
しかし、昨今では少子高齢化に伴う晩婚化や婚姻数大幅減少のみならず、3年続いた「ゼロコロナ政策」等に伴う景気後退もあって、規模を大きく縮小する事態に遭っている。...
全部読む
9月19日付
『ロイター通信』は、中国における少子高齢化に伴う婚姻数激減や、コロナ禍等による景気後退によって結婚式を地味に行うカップルが増えたため、ブライダル産業が大打撃を受けていると報じた。
中国のブライダル産業は、かつて5千億ドル(約74兆円)にも達する業界規模を誇っていた。
しかし、昨今では少子高齢化に伴う晩婚化や婚姻数大幅減少のみならず、3年続いた「ゼロコロナ政策」等に伴う景気後退もあって、規模を大きく縮小する事態に遭っている。
すなわち、現在の傾向は、景気後退や生活費等高騰に加えて、少子高齢化に伴う出生率の低下もあって、結婚式に対する考え方も大きく変わりつつある。
現実問題、当局発表では、2022年の総人口が直近60年で初めて減少に転じている。
そして、2022年の婚姻数は約680万組と、前年比▼80万組も減少していて、当局が統計を公表し始めた1986年以来最低値となっている。
婚姻数の減少が出生率の大幅減少を引き起こしている。
何故なら、中国の多くの市政府は、シングルマザーの子育てを認めず、育児補助金の支給等を行わないばかりか、未婚のカップルが子供を持つことは世間から顰蹙を買うからである。
上海で十年以上ウェディング・プランナー事業を営んでいたある経営者は、“婚姻数が激減しただけでなく、派手な式を挙げようとするカップルも減少している”とし、“ブライダル産業の将来は暗い”として現在では写真撮影事業に鞍替えしている。
上海のコンサルティング企業「中国市場研究グループ」のベン・キャベンダー代表は、“若者の多くは結婚が全てではないと言うだけでなく、子供を育てることも費用が掛かり過ぎると嘆いている”とコメントしている。
コロナ禍以前では、中国ブライダル産業は2020年に3兆6千億人民元(4,870億ドル、約72兆760億円)に達する程の規模を誇っていた。
当時、多くのカップルが贅沢な宝石をまとい、豪奢な結婚式場で式を挙げていたが、上海の別のウェディング・プランナー事業経営者は、今年の式で10万人民元(1万3,736ドル、約203万円)を超えるカップルは数えるほどしかいないと嘆いている。
ただ、香港の宝飾品大手「周大福(チョウ・タイフック、1929年設立)」や「TSLジュエリー」は、コロナ禍の都市封鎖措置で2022年まで式を挙げられなかったカップルが、2023年以降に堰を切って式を挙げると期待されていて、結婚式用宝飾品の売り上げはコロナ禍以前に戻ると期待しているとコメントした。
それでもTSLは、ブライダル産業が長期的に見てどうなるかは偏に強い経済成長が戻るかにかかっているとする。
なお、コロナ禍等による景気後退で、失業率増や収入減少に遭って中流層や若年層が大きく影響を受けている。
そこで、米著名デザイナーのウェディング・ドレスをネット販売している経営者は、低~中流層ではなく上流階級の顧客宛の販売に特化しているという。
閉じる