ドイツの経済研究所がこの程、気候変動対策が不十分だった場合、2050年までに最悪9千億ユーロ(約130兆5千億円)もの甚大な損失が発生するとの研究結果を公表している。
3月6日付
『ロイター通信』は、「気候変動のために2050年までにドイツに最大9千億ユーロの被害発生との報告」と題して、複数の経済研究所の共同研究の内容について報じている。
ドイツの経済研究所の研究によると、気候変動によってもたらされる異常気象の結果、今世紀半ばまでにドイツに最悪9千億ユーロの甚大な損失が発生する恐れがあるという。
連邦政府が目下策定している気候変動対策が近々発表されることになっているが、その公表前の3月6日に、プログノス(1959年設立)及び生態経済学研究所(1985年設立)の共同研究の成果としてリリースされたものである。...
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3月6日付
『ロイター通信』は、「気候変動のために2050年までにドイツに最大9千億ユーロの被害発生との報告」と題して、複数の経済研究所の共同研究の内容について報じている。
ドイツの経済研究所の研究によると、気候変動によってもたらされる異常気象の結果、今世紀半ばまでにドイツに最悪9千億ユーロの甚大な損失が発生する恐れがあるという。
連邦政府が目下策定している気候変動対策が近々発表されることになっているが、その公表前の3月6日に、プログノス(1959年設立)及び生態経済学研究所(1985年設立)の共同研究の成果としてリリースされたものである。
連邦経済・気候保護省によると、同研究所の研究結果、極暑・干ばつ・洪水等の異常気象によって、2022から2050年の間に最悪9千億ユーロ、最低でも2,800億ユーロ(2,978億1千万ドル、約40兆6千億円)の甚大な損失を被ることになる恐れがあるとされているという。
これらの損失額には、豪雨や洪水、物品輸送不能、医療制度の機能不全等に伴う農業生産高大幅減少、建物やインフラ設備の損害等が含まれるという。
ただ、同研究には、健康被害や死亡、生物多様性の損失のような非財政上の損失が含まれていない。
欧州で最大経済規模のドイツはこれまで、2000年から2021年の間に発生した異常気象によって1,450億ユーロ(約21兆250億円)の損失を被っている。
そして、2021年に同国南西部のラインラント=プファルツ州(州都はマインツ)及びノルトライン=ベストファーレン州(同デユッセルドルフ)を襲った洪水被害を含めて、直近5年間だけで800億ユーロ(約11兆6千億円)もの損害が発生している。
そこで担当省は、研究結果よりの推定として、例えば炭素貯留等の気候変動対策が徹底的に講じられれば、上記の被害総額が60~80%も抑えられる可能性がある、とも表明している。
ただ、同研究には、取るべき気候変動対策のために連邦及び州政府がどれだけ予算を割くべきか言及されていない。
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