エネルギー関連の最新調査によると、世界最大の石炭生産国である中国では、温室効果ガスの排出から脱却する世界とは逆方向に、新たな石炭発電所の建設の承認スピードが加速しており、2022年には2015年以降で最も承認件数が多くなっていたという。
2月27日付
『ロイター通信』:「中国の石炭発電承認が2022年急増、2015年以来最高」:
27日発表された調査によると、エネルギー確保を目的とし、中国では昨年、106ギガワット相当の石炭発電所建設が承認されている。これは2015年以降で最も多いという。
エネルギー・クリーン・空気研究センター(CREA)とグローバル・エナジー・モニター(GEM)によると、過去一年、中国国内では前年比で半分以上となる50ギガワットの石炭発電の建設が始まった。...
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2月27日付
『ロイター通信』:「中国の石炭発電承認が2022年急増、2015年以来最高」:
27日発表された調査によると、エネルギー確保を目的とし、中国では昨年、106ギガワット相当の石炭発電所建設が承認されている。これは2015年以降で最も多いという。
エネルギー・クリーン・空気研究センター(CREA)とグローバル・エナジー・モニター(GEM)によると、過去一年、中国国内では前年比で半分以上となる50ギガワットの石炭発電の建設が始まった。2022年の建設許可プロセスは異常なスピードで、「数ヶ月ほどの間で、多くのプロジェクトが立ち上がり、承認され、資金を得て着工される」のだという。
2017年~2020年の間の建設承認件数は減少していたが、電力不足へが懸念されていることから、その後の数年は増加傾向となっている。
新規に承認されるプロジェクトの多くは、発電所のベースロード発電量を保証するのに重要とみなされているものの、発電量が十分な地域にも多く建設されており、供給問題には直接関係しないともみられている。
中国では、石炭不足により、2021年9月から工場や家庭での停電が頻発し、昨年の干ばつの影響から水力発電による発電供給も不足していた。昨年の「ゼロコロナ政策」によるマイナス成長や雇用不況により、中国では景気回復が望まれる一方で、CO2削減努力が置き去りされることが懸念されている。
再生可能エネルギー普及も記録的レベルを維持しており、2022年には太陽光パネルが87ギガワットとなり、2023年にはさらなる増加が期待されている。中国は2030年をCO2排出量をピークとする目標を掲げているが、達成の見通しは不透明となっている。
26日付米『ワシントン・ポスト』:「中国の石炭発電建設承認が過去7年で最高に」:
中国では昨年、石炭発電所の増強が2015年以来最高となった。世界最大のCO2排出国では未だに化石燃料への依存が大きく、専門家は早急な削減が必要だと警鐘を鳴らしている。
中国では火力発電プロジェクトが増加しており、2022年中国当局は、国内82地域で106ギガワットの相当の発電承認を出しているという。これは2021年の4倍で過去7年で最高レベルとなっている。
全てのプロジェクトが実際に行われるわけではないが、地方政府は、現在50ギガワット相当の発電所建設を早急に進めている。発電所の建設は、地方政府にとっては、長期的にプロジェクトがそれほど利益につながらなくとも、短期的な雇用創出や建設契約の創生による景気対策目的という側面もある。
当局は新規発電所建設の決定は、エネルギー生産供給力を高めるための「必要悪」で、必ずしも電力セクターが石炭を使用したり、CO2を排出することを意味しないと主張する。専門家は、たとえそうだとしても、新たに数百の発電所を建設するのは、資金的にも、中国の気候目標をより困難にするものだと指摘している。
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