米国は、台湾や南シナ海での紛争の際に、作戦遂行の戦略的な位置となるフィリピンの軍事基地使用を検討している。また、自然災害や気候変動対策などの安全保障面での協力も強化されるとみられる。
1月31日付米
『CNN』:「中国を念頭に、米軍がフィリピンの基地使用権拡大を検討」:
インド太平洋地域での勢力拡大を目論む中国に対抗し、米軍はフィリピンの基地の使用を検討している。
オースティン国防相がフィリピン首脳らと会談する今週にも発表するとみられる。これにより米国は、台湾の南わずか200マイルに、南シナ海南東部の戦略的拠点を得ることになる。これが領域主権を主張する中国の怒りを招くことは必須である。...
全部読む
1月31日付米
『CNN』:「中国を念頭に、米軍がフィリピンの基地使用権拡大を検討」:
インド太平洋地域での勢力拡大を目論む中国に対抗し、米軍はフィリピンの基地の使用を検討している。
オースティン国防相がフィリピン首脳らと会談する今週にも発表するとみられる。これにより米国は、台湾の南わずか200マイルに、南シナ海南東部の戦略的拠点を得ることになる。これが領域主権を主張する中国の怒りを招くことは必須である。
米軍には2014年に締結された防衛協力強化協定(EDCA)により、米比両国が使用できる施設建設がみとめられている。昨年11月、ハリス副大統領がマニラを訪問し、基地使用について協議。中国が軍事基地を建設したスプラトリー諸島に面し、ビーチとしても有名なパラワン島を訪問していた。
フィリピンには、米軍最大の在外基地のうちの2つがあったが、1990年代にフィリピンの管轄に移行。相相互防衛条約は今も有効で、最も長い相互協定同盟関係にあったが、ドゥテルテ政権下で関係が悪化、訪問軍協定(VFA)の破棄も検討されていたが、2021年には協定が復活。
今月、米国は沖縄で新たな海兵隊の常駐を発表。これも米軍の調整上重要な動きとなっている。沖縄は台湾の北約200マイルに位置し、フィリピンと台湾の距離とほぼ同じ距離にある。先週には、フィリピンの東にあるグアム島で海兵隊の新基地「キャンプ・ブラズ」が開所している。
同日付米『ワシントン・ポスト』:「米軍がフィリピンの基地へのアクセス権確保へ」:
米国は、フィリピンの重要基地へのアクセス拡大の意向を示している。
フィリピンの軍事基地使用権拡大には、台湾や南シナ海での紛争が起きた際の活動拠点となるルソン島の基地が含まれる。また、自然災害対策や気候変動関連など、安全保障での協力も強化される見通し。
サリバン米国家安全保証担当補佐官は、今月はじめ、インド太平洋の同盟強化の一環として、フィリピン側と協議していた。フィリピン側は、「軍事協力強化は自国の防衛態勢に役立つが、安全保障強化は特定の国を狙ったものではない」と強調している。
中国はフィリピンの最大貿易相手国で、マルコス大統領の家族は中国との歴史的結びつきがある。20年以上前から米国は、中国の攻撃が米軍基地に集中するよう、西太平洋上のプレゼンス分散を進めてきた。今回の動きは中国の脅威に釘を刺すべく、米国や同盟諸国にとり大きな前進となるだろう。
閉じる