ドナルド・トランプ前大統領(76歳、2017~2021年在任)は、既報どおり、2021年1月6日発生議事堂乱入事件調査担当の下院特別委員会から暴動策謀の嫌疑をかけられ、また、連邦捜査局(FBI)等からは機密文書等の不当持ち出し容疑で刑事訴追される恐れがある。そうした中、同前大統領が実質オーナーとなっているトランプ・オーガナイゼーション(TO、1923年設立の複合企業)が、脱税容疑等で刑事訴追され、いよいよ裁判が開始されることになった。
10月20日付
『ロイター通信』は、「トランプ自身の訴追の可能性が高まる中、トランプ保有会社の脱税容疑審判開始」と題して、議事堂乱入事件の扇動疑惑や、大統領時代の機密文書等の不当持ち出し容疑で訴追される恐れのあるトランプ前大統領が、自身が実質オーナーとなっているTOの脱税容疑等での刑事裁判開始によって、いよいよ苦境に立たされようとしていると報じた。
ドナルド・トランプ前大統領が実質オーナーとなっているTOに対する脱税容疑等に関わる刑事裁判が、いよいよ来週にニューヨーク地裁で開始される。...
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10月20日付
『ロイター通信』は、「トランプ自身の訴追の可能性が高まる中、トランプ保有会社の脱税容疑審判開始」と題して、議事堂乱入事件の扇動疑惑や、大統領時代の機密文書等の不当持ち出し容疑で訴追される恐れのあるトランプ前大統領が、自身が実質オーナーとなっているTOの脱税容疑等での刑事裁判開始によって、いよいよ苦境に立たされようとしていると報じた。
ドナルド・トランプ前大統領が実質オーナーとなっているTOに対する脱税容疑等に関わる刑事裁判が、いよいよ来週にニューヨーク地裁で開始される。
同前大統領に対する訴追の恐れが高まる中、TOに対して多額の罰金刑が科されることになると、同社の今後の会社運営にも支障をきたす可能性がある。
ニューヨーク州マンハッタン区司法局が昨年7月に刑事訴追したもので、被告はTO及びアレン・ワイゼルバーグ元財務責任者(75歳)であり、罪状は、2005年以降の会社幹部への“簿外報酬”の隠蔽、それに伴う会社側の給与支払い税逃れ等である。
ワイゼルバーグ被告は、実業家のトランプ前大統領に半世紀近く仕えた人物で、当初は否認していたが、今年8月中旬、176万ドル(約2億6,400万円)の収入隠蔽容疑等合わせて15の罪を認めた。
その上で同被告は司法取引を行い、TOに対する容疑について証言することになっている。
トランプ前大統領は今回の刑事訴追対象となってはいないが、TOは目下、子息のドナルド・トランプJr.(44歳)及びエリック・トランプ(38歳)が副社長として経営していることから、2024年大統領選への出馬が予想される同前大統領にとって逆風となる可能性がある。
更に、同前大統領自身、2020年大統領選結果を覆そうとした際の違法行為や、大統領退任後に機密文書等を不当に持ち出した容疑で、連邦及び州当局から訴追される恐れがある。
来週から開始される刑事裁判において、TOに対して最大160万ドル(約2億4千万円)の罰金が科される可能性がある。
TO代理人弁護士は、前大統領の政治信条への敵意に基づく“意図的な起訴”だと主張しているが、担当裁判官はこの主張を退けている。
なお、マンハッタン区司法局でTO捜査を命じたサイラス・バンス前局長(68歳、2010~2021年在任)及びアルビン・ブラッグ現局長(2022年就任)とも民主党員である。
一方、上記刑事訴追とは別に、ニューヨーク州のレティティア・ジェームズ司法長官(64歳、2022年就任、民主党員)が今年9月21日、TO、トランプ前大統領、及び3人の息子・娘(ドナルド・トランプJr.、エリック・トランプ、イバンカ・トランプ)を相手取って、民事訴訟を提起している。
同長官は、被告らが資産を過剰評価する等して不当な融資を受けたり、保険求償を行っていたとして、同州が受けた被害の損害賠償をさせるため、不当利得2億5千万ドル(約375億円)の回収、トランプ家の人々をTO幹部から外すこと、今後5年間ニューヨークで不動産を購入することの禁止、及びこれらを監視する第三者監督官の任命を求めている。
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