ローマ法王はこれまで何度か、ウクライナ戦争の早期停戦を呼びかけてきた。しかし、ウラジーミル・プーチン大統領(今週に70歳、2000年就任)が9月下旬に部分的動員令を発令し、ウクライナへの攻撃を更に激化する恐れが出てきたことから、同法王が初めて同大統領を名指しして戦争の即時終結を要請する声明を出した。
10月2日付
『ロイター通信』は、「ローマ法王、“暴力と殺戮の連鎖”を終わりにするようプーチンに要請」と題して、ローマ法王が初めてロシア大統領を名指しして戦争の即時終結を要請したと報じている。
フランシスコ法王(85歳、2013年就任)は10月2日、ウラジーミル・プーチン大統領を名指しして“暴力と殺戮の連鎖”を終わらせるよう直接要請した。
同法王はこれまで何度か、ロシアによるウクライナ軍事侵攻及びそれに伴う殺戮や破壊を非難してきた。...
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10月2日付
『ロイター通信』は、「ローマ法王、“暴力と殺戮の連鎖”を終わりにするようプーチンに要請」と題して、ローマ法王が初めてロシア大統領を名指しして戦争の即時終結を要請したと報じている。
フランシスコ法王(85歳、2013年就任)は10月2日、ウラジーミル・プーチン大統領を名指しして“暴力と殺戮の連鎖”を終わらせるよう直接要請した。
同法王はこれまで何度か、ロシアによるウクライナ軍事侵攻及びそれに伴う殺戮や破壊を非難してきた。
しかし、この度、核兵器使用やそれに伴う世界的規模の悲劇の恐れが高まってきたことから、同法王が已むに已まれず直訴したものと考えられる。
同法王は声明で、“ここ数ヵ月、恐ろしい殺戮で人々の涙と血の海”ができて堪えられない、としながらも、他方、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領(44歳、2019年就任)に対しても、“和平提案”がなされた場合に柔軟に対応するよう要請している。
なお、バチカン市国高官によると、今回の法王の情熱のこもった声明は、1962年のキューバ危機発生時に当時法王だったヨハネ23世(1881~1963年、1958~1963年在任)がラジオを通じて平和を訴えた事態を連想させる程厳粛なものである、という。
同日付『AP通信』は、「フランシスコ法王、核戦争勃発を懸念してプーチンに対して“即時停戦”を呼びかけ」として、同法王がプーチン大統領名指しで戦争終結の必要性を訴えたと報じている。
同法王はこれまで、ウクライナ戦争を“大きな間違いで戦慄を覚える”と非難してきたものの、直接ロシア側に訴えることはなかった。
しかし、同法王は、10月2日の礼拝時に通常の祈りの言葉ではなく、今回初めて、プーチン大統領を名指しして即時停戦を訴え、他方、ゼレンスキー大統領の名前も挙げて、戦争終結の提案が出されたならば“広い心で受け入れること”を要請した。
同法王は、“国際法の原則に反して続けられる悲惨な事態を強く嘆く”と言及して、プーチンによるウクライナ東部地区の違法な併合を非難した。
その上で、“このまま事態が悪化すれば、核戦争勃発の恐れが高まり、そうなると世界人類は壊滅的な事態に陥る”と警告した。
一方で、ゼレンスキー大統領に対しても、もし和平提案がなされた場合には、“停戦に向けて、可能な限り寛容な心で”受け入れを検討して欲しいとも訴えている。
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