イランの首都テヘランで先週、マフサ・アミニさんが頭髪を覆うヒジャブを適切に着用していなかったとして警察に拘束され、その後死亡した。健康上の問題はなく、脚に打撲の跡があることから、拘束中の暴行により死亡したとみられており、女性を中心に各地で抗議デモに発展している。イラン当局がインターネットやソーシャルメディアの規制をしているとも報じられている。
9月22日付
『ロイター通信』:「イランのデモ拡大、ネットアクセスは減少、死者は増加」:
イラン当局やクルディスタン州の団体によると、道徳警察に逮捕された女性が死亡したことに対する抗議デモが5日目に入り、死者が増える一方、ソーシャルメディアへの規制も行われているという。
先週テヘランで、22歳のイラン系クルド人女性が頭髪を隠すスカーフの着用をめぐる「不適切な服装」のため拘束され、拘束中に死亡。...
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9月22日付
『ロイター通信』:「イランのデモ拡大、ネットアクセスは減少、死者は増加」:
イラン当局やクルディスタン州の団体によると、道徳警察に逮捕された女性が死亡したことに対する抗議デモが5日目に入り、死者が増える一方、ソーシャルメディアへの規制も行われているという。
先週テヘランで、22歳のイラン系クルド人女性が頭髪を隠すスカーフの着用をめぐる「不適切な服装」のため拘束され、拘束中に死亡。これに抗議するデモが、北西部のクルド人が住む地域でおき、その後少なくとも50の市や町に拡大。2019年イランでおきたガソリン値上げへの抗議デモ次ぐ規模となっている。
クルド系人権団体「Hengaw」は、デモ参加者10人、治安部隊の死者も10人に達したと報じている。負傷者は450人で、デモによる死者は主に北西部だという。政府は、治安部隊の責任を認めておらず、武装集団の砲撃によるものだと指摘。
クルド系人権団体「Hengaw」やインターネットアクセスを世界規模で追跡している非政府組織「NetBlocks」によると、デモの鎮圧が見込まれないことから、当局は、ネットへのアクセスを制限しているという。イランで唯一の政府も容認するSNSであるインスタグラムへも規制がかかっており、一部では携帯電話も繋がらないという。
今回の事件により、国民からは、自由の権利や、制裁に苦しむイランの経済問題への怒りが爆発。デモでは、女性が中心的役割を果たしており、ベールを振ったり燃やす、公衆の前で髪を切るなどの行動にでている。一方、ネット制限により、デモが正確に世界に伝わらないことが懸念される。
SNS上の映像では、デモ隊がイランや治安部隊のシンボルを破壊する様子や、男性がイラン革命後イラン共和国を建国したホメイニ師の像を倒している様子が投稿されている。サリで撮影されたとされる別の動画では、女性たちが抗議行動として、自らのスカーフを燃やしたり、テヘラン大学では21日「独裁者に死を」と数百人がデモに参加したという。
9月21日付英『Guardian』:「イラン各地でデモ鎮圧のため警察動員、死者7人との報道も」:
イランでは、15の都市でデモは拡大し、取り締まりによる死亡者は7人にのぼるとされる。
抗議拡大を抑える目的で、一部では、インターネットが使えなかったり、イランのIPアドレスを持つインスタグラムのアカウントもブロックされているとも報じられている。イスラム共和国通信社によると、アイサ・ザレプール通信技術大臣は、インターネットが「一部の地域で、一定時間制限されている」としている。
国営メディアは、20日午後、デモ隊から治安部隊への投石や警察車両への放火があり、警察が1000人の参加者に対し、催涙ガスを使用してデモを鎮圧したとしている。
各地でデモ隊が奮闘。ソーシャルメディア上では、バイクに乗りヘルメットを被った男性に囲まれた女性たちが叩かれる様子もみられるという。多くの女性は、エブラヒム・ライシ大統領が出した、ヒジャブ着用を義務に伴う取り締まりを行う道徳警察への抗議を示し、スカーフをとって参加している。
21日、ニューヨークの国連でのスピーチで、ライシ大統領は、デモへは言及しなかったが、「イランの捜査事件」への西欧諸国の反応を批判した。
イラン当局は、女性死亡の原因を調査するとしているが、デモ参加者らは、内部調査は信頼できないとし、道徳警察の廃止を求めている。
21日、イランの最高指導者ハメネイ師はテレビ演説を行い、デモには触れず、若者は「西洋式に」なってはならないと促した。イランは、国際社会からの国内問題への干渉を批判している。
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