米共和党においては、トランプ前大統領に反旗を翻す者もいるが、大勢は依然トランプ支持者が多い。ただ、既報どおり、民主党主導で進められている下院特別委員会(昨年1月の議事堂乱入事件を調査するために設立)の調査及び重要参考人の証言によって、前大統領に逆風が吹き始めている。そうした中、前回大統領選で激戦区となり、前大統領から票の数え直し等様々な圧力をかけられたアリゾナ州・ジョージア州において、今秋の州知事選候補者を決める共和党予備選で、トランプ派と反トランプ派の間で激戦が繰り広げられている。
7月17日付
『AP通信』は、「共和党重鎮、アリゾナ州知事選候補予備選でトランプ派候補撃退に奔走」と題して、反トランプ派の現職知事が、トランプ前大統領が送り込んだ対立候補を撃退すべく奔走していると報じている。
アリゾナ州のダグ・デューシー知事(58歳、2015年就任で2期目)は、前回大統領選で激戦区となった同州の知事選候補者を決める共和党予備選で、自身の後任として推す反トランプ派の候補者支援に注力し、ドナルド・トランプ前大統領(76歳)が送り込んだ対立候補を撃退しようと努めている。...
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7月17日付
『AP通信』は、「共和党重鎮、アリゾナ州知事選候補予備選でトランプ派候補撃退に奔走」と題して、反トランプ派の現職知事が、トランプ前大統領が送り込んだ対立候補を撃退すべく奔走していると報じている。
アリゾナ州のダグ・デューシー知事(58歳、2015年就任で2期目)は、前回大統領選で激戦区となった同州の知事選候補者を決める共和党予備選で、自身の後任として推す反トランプ派の候補者支援に注力し、ドナルド・トランプ前大統領(76歳)が送り込んだ対立候補を撃退しようと努めている。
同知事は、共和党内で数少ない反トランプ派の重鎮で、これまで無名だった宅地造成業者代理人弁護士のカリン・テイラー・ロブソン候補(57歳)に肩入れして知名度を引き揚げている。
そして、トランプ前大統領が推している対立候補のカリ・レイク氏(52歳、同州フェニックスTV局元ニュースジャーナリスト)を退けるべく、同じく反トランプ派の元ニュージャージー州知事のクリス・クリスティ氏(59歳、2010~2018年在任)もロブソン候補支持を強く打ち出している。
かかる反トランプ派の積極的活動は、ジョージア州現職知事のブライアン・ケンプ氏(58歳、2019年就任で2期目を目指す)が今年5月下旬の同州共和党予備選で、トランプ前大統領が推す対立候補のデビッド・パーデュー氏(72歳、2015~2021年の間同州選出の上院議員)を大差で破ったことで勢いを増している。
実は前回大統領選時、アリゾナ州・ジョージア州の両知事は、トランプ前大統領から選挙結果を覆すようにとの圧力をかけられたが、これを拒否していたことから、トランプ前大統領が立腹し、同陣営から対立候補を送り込む等の嫌がらせを受けてきていた。
従って、ジョージア州に続いて、8月2日に投開票となるアリゾナ州における共和党予備選でも反トランプ派候補が勝利するとなれば、2024年の大統領選への立候補を検討しているトランプ氏にとって、痛手となる可能性がある。
デューシー知事は『AP通信』のインタビューに答えて、“アリゾナ州では、ジョージア州と同様、最も適任となる候補者が勝利すると思う”とし、“ジョージア州ではブライアン・ケンプ氏が信任を得たので、アリゾナ州ではカリン・テイラー・ロブソン候補が選ばれることを期待している”と語った。
目下のところ、ロブソン候補が、同州富豪で宅地造成業を営む夫のエド・ロブソン氏(91歳)の強い後ろ盾もあって優勢となっている。
一方、レイク候補は、トランプ前大統領から後押しされているものの、十分な選挙運動支援金が集まらず苦戦を強いられている。
なお、ロブソン候補に対して、予備選から撤退したマット・サーモン氏(64歳、2013~2017年の間同州選出の下院議員)に加えて、当初トランプ派だった同州国境警備隊職員組合も支持を表明している。
ただ、トランプ前大統領と袂を分かったマイク・ペンス前副大統領(63歳)は、ジョージア州のケンプ知事の再選を支持していたが、アリゾナ州ではどの知事候補を支援するかまだ態度を明らかにしていない。
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