米連邦最高裁判所が、公共の場で銃を持ち歩くことを規制するニューヨーク州の州法は、合衆国憲法に反するとの判断を行った。カリフォルニア州、ハワイ州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、ロードアイランド州にも同様の州法があり、全米で人口の約4分の1がこの決定の影響を受けるとされる。大都市での銃の所持が増えることで、既に増加傾向にあった銃撃事件が今後も増え、犯罪率も上がることが懸念されている。
6月23日付米
『CBSニュース』:「最高裁がニューヨーク州の銃制度を違憲とする判決、武器携帯権拡大へ」:
23日最高裁は、自衛のため公共の場で銃を隠して持ち歩くことを厳しく制限するニューヨーク州法は違憲であると判断した。
判事6人賛成対3人反対の判決により、108年前から続く州法の合憲性を覆した。クラレンス・トーマス判事は多数派の意見をまとめ、同州法は合衆国憲法修正第2条で示される市民の「適切な理由による権利」を妨げるもので、この憲法上の権利は個々の権利保障法案に基づく「第二級の権利」ではないとしている。...
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6月23日付米
『CBSニュース』:「最高裁がニューヨーク州の銃制度を違憲とする判決、武器携帯権拡大へ」:
23日最高裁は、自衛のため公共の場で銃を隠して持ち歩くことを厳しく制限するニューヨーク州法は違憲であると判断した。
判事6人賛成対3人反対の判決により、108年前から続く州法の合憲性を覆した。クラレンス・トーマス判事は多数派の意見をまとめ、同州法は合衆国憲法修正第2条で示される市民の「適切な理由による権利」を妨げるもので、この憲法上の権利は個々の権利保障法案に基づく「第二級の権利」ではないとしている。今回の判決は、最高裁が憲法のもと、「個人が自衛目的で、自宅に武器を置く権利が保障される」との判決を下し、銃の権利拡大に繋がった2008年以来の重要な判決となる。
今米国では、5、6月に発生した銃乱射事件がきっかけとなり、事件発生を減らすための銃規制法への議論が活発になっていた矢先だった。今後は、ニューヨーク以外の銃規制が適用される州にも影響が及び、市街地での銃撃事件が増加することが懸念されている。
バイデン大統領は声明で、「この決定に深く失望している、銃による暴力を減らす法改正を各州に求める。この判決は世間の常識にも、憲法にも反しており、我々を困惑させるもの」だと批判している。ニューヨーク州のホークル知事も、「国が銃制度を見直す中、極めて衝撃的」な判決だとしている。
同付米『NBC』:「最高裁がNYの銃携帯法を覆す、銃の権利拡大へ」:
23日最高裁は、個人が公共の場で銃を隠し持つ権利を制限する州法を違憲とした。これにより、銃の権利は全国的に拡大するとみられる。
この決定により、これまで以上にニューヨーク、ロサンゼルス、ボストン等の大都市で、市民が合法的に銃を携帯することが増えるとみられる。また、全米の人口の約4分の1が、この決定の影響を受ける州に在住しているとされる。
最近テキサス州、ニューヨーク州、カリフォルニア州で銃撃事件が起きているのを受け、議会では銃規制が議論されており、23日には上院で、銃の対策を強化する重要法案が可決している。バイデン大統領も、新たな法通過のため、「全国民で銃の安全を提唱していこう。命が危険に晒されている」と促した。
前回最高裁が大きな銃法の判断をしたのは2010年。全国で自衛のため自宅に銃を所有する権利を認めたが、自宅外での武器携帯は認められなかった。多くの国では、銃所有者が合法的に銃を携帯することを殆ど問題としない。だが、ニューヨーク州は、1913年に制定された現行法により、公共の場で銃を隠して携帯するためのライセンスを申請する場合、武器を携帯すべき必要性と「適切な理由」を提示しなければならない。
無制限ライセンスを持つ場合、どこでも銃の携帯が許されるが、制限付きライセンスの場合は、携帯する権利はあるが、狩猟や標的物の射撃など、特別な目的の場合のみ許可されている。今回この州法に意義を唱えたのは、無制限ライセンスへの申請が却下された銃の権利支援団体の男性2人だという。
州法支持派は、これを違憲とすることで、パンデミックで既に増加傾向にあり、更に増加している銃撃事件が今後も増え、犯罪率も上昇することを懸念している。カリフォルニア州、ハワイ州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、ロードアイランド州に同様の州法がある。
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