22日、円相場が1ドル136円台と24年ぶりの円安水準となった。海外メディアは、急激な円安による消費者物価の上昇の加速が懸念される中、参院選を控えた野党が「岸田インフレ」を糾弾していると報じている。
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『レゼコー』紙は、「存在感の薄い日本の野党は、7月10日の参議院選挙で自民党を中心とする保守派から数議席を奪還するために、新しいキャンペーンテーマを見出した。」と伝えている。野党は現在、岸田首相が急激な円高でインフレが悪化したことの責任の一端を担っていると非難している。
同紙は、日本銀行は、日本で観測されているインフレ(2.1%)は一時的だと判断し、回復しつつある日本経済への打撃を恐れて、世界的な利上げの動きには断固として反対していると伝えている。...
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『レゼコー』紙は、「存在感の薄い日本の野党は、7月10日の参議院選挙で自民党を中心とする保守派から数議席を奪還するために、新しいキャンペーンテーマを見出した。」と伝えている。野党は現在、岸田首相が急激な円高でインフレが悪化したことの責任の一端を担っていると非難している。
同紙は、日本銀行は、日本で観測されているインフレ(2.1%)は一時的だと判断し、回復しつつある日本経済への打撃を恐れて、世界的な利上げの動きには断固として反対していると伝えている。そして、この戦略の違いから、主要投資家はゼロに近い利回りが続く日本国債から、米連邦準備制度理事会(FRB)が相次いで利上げを行う米国ドルを中心に買う動きが広がっていることを指摘。
金融情報を扱う仏オンラインニュースサイト『ブルソラマ』も、FX業者Markets.comのニール・ウィルソン氏は、「中国を除く他のすべての主要な中央銀行と逆行して、円安を推進しているのは日銀である」と述べていることを伝えている。そして、岸田首相や日銀は、円安は、輸出中心の国内経済にはむしろプラスに働くと見ている一方で、世界的な金利上昇は日銀に過大な圧力をかけていると指摘している。
日本銀行のこの戦略は、日本の企業や個人を金利の高騰から守る一方で、円安と多くの日用品の価格上昇を加速させている。例えば、チューブ入りのマヨネーズが1年で30%も値上がりしている。食用油の価格は50%上昇し、ポテトチップス、インスタントラーメン、クッキーなどのメーカーも値上げしたり、分量を減らしたりしている。国内の主要なレストランチェーンの4分の3が値上げを計画していることも判明している。
インフレへの懸念が高まる中でも、岸田首相は、日銀の金融緩和政策への支持を表明し、補助金や商品券などで対応することを約束している。すべての世論調査で、248議席のうち半数のみが改選される7月10日の参院選では、自民党が公明党とともに過半数を維持する見込みであるため、こうした保証は当面の間、日本の世論を満足させるものと思われると『レゼコー』は伝えている。
一方、米『ブルームバーグ』は、インフレへの不安は、つい数週間前まで与党自民党が大差で勝つと思われていた参院選に、不確実性をもたらしていると伝えており、岸田首相が圧勝すれば、次の選挙を3年も先送りすることができ、多くの前任者が通ってきた「回転ドア人事」を回避することができる、と報じている。また、ロシアの攻撃から4カ月が過ぎ、世論調査では、有権者の優先順位は徐々に安全保障から経済再生など懐事情にシフトしていることを指摘している。
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