5月19日付
『ロイター通信』:「食糧危機問題:ウクライナの穀物輸出確保で国連総長が交渉中」:
国連のグテレス事務総長は18日、世界的な食糧危機への懸念が高まる中、ロシア、ウクライナ、トルコ、米国、EUとウクライナの穀物輸出の確保のため交渉中だと語った。
先月モスクワとキーウを訪問した同氏は、米国のブリンケン国務長官が主宰する食糧危機に関する会議で演説。「期待はあるが、まだ時間がかかりそうだ。...
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5月19日付
『ロイター通信』:「食糧危機問題:ウクライナの穀物輸出確保で国連総長が交渉中」:
国連のグテレス事務総長は18日、世界的な食糧危機への懸念が高まる中、ロシア、ウクライナ、トルコ、米国、EUとウクライナの穀物輸出の確保のため交渉中だと語った。
先月モスクワとキーウを訪問した同氏は、米国のブリンケン国務長官が主宰する食糧危機に関する会議で演説。「期待はあるが、まだ時間がかかりそうだ。複雑な安全保障問題、経済、金融問題が絡んでおり、全ての関係者の善意が必要となる」とした。ロシアに対しては、ウクライナの港に貯蔵されている穀物の安全な輸出を訴え、ロシアの穀物や肥料も、世界市場に制限なく全面的に開放するよう求めた。ブリンケン氏は、ロシアは食料などの重要物資の供給路としての回廊設置をすべきだと主張している。
ロシアによるウクライナ侵攻で、世界的に穀物、食用油、燃料、肥料の価格が高騰したため、最貧国における食糧、エネルギー、経済危機が懸念されている。ウクライナは、侵攻前までは港から多くの商品を輸出していたが、侵攻後には、貨物列車による地上輸送や、小規模なドナウ川港が輸送に使われている。国連世界食糧計画(WFP)もロシアのプーチン氏に対し、「少しでも良心があるなら、港湾を開放してほしい」と訴えている。
ロシアとウクライナによる小麦供給量は、合わせて世界全体の3分の1となる。ウクライナは、トウモロコシ、大麦、ひまわり油、菜種油の主要輸出国でもあり、ロシアとベラルーシは、世界の肥料の40%を供給している。
国連によると、36カ国が小麦粉輸入の半量以上をロシアとウクライナからの輸入に頼っている。その中にはレバノン、コンゴ民主共和国などの最貧国も含まれる。ロシアのネベンジャ国連大使は、グテレス氏との会談で、ウクライナの穀物市場アクセス問題に難色を示し、ロシアの肥料や穀物への直接的制裁はなかったが、米国などの制裁が始まって以来、輸送、保険への影響はあったとしている。
同日付英『BBC』:「ウクライナ侵攻により世界的食糧危機となる恐れ国連警告」:
ウクライナ侵攻により、今後数か月で、世界的な食糧不足に陥る危険があると国連は指摘している。
国連のグテレス事務総長は18日、ニューヨークでの演説で、戦争による価格高騰を理由に途上国での食糧確保が困難となっており、「今問題を解決しなければ、今後数か月の間に、世界は食料不足に直面する」と指摘。ロシアやベラルーシの肥料、そしてウクライナの穀物生産の復活なしに効果的な解決策はないと警告した。
一方、世界銀行も18日、食糧の安全供給に向けた追加支援を発表。今後15か月で合計300臆ドル超が食糧関連支援に宛てられるとみられる。
ロシアとウクライナ合わせて世界の小麦の3割を供給しているが、侵攻以前から、食糧危機に直面する人は増えていた。ドイツのベアボック外相は、「中東やアフリカでは既に飢餓に苦しむ人が多くいたが、ロシアは世界的食糧危機を招く穀物戦争を引き起こした」とし、食糧危機を悪化させるロシアを批判した。
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