アフリカ初の新型コロナウイルス・ワクチン工場を開設した南アフリカのアスペンファーマ社は、2021年11月の開設以来、同工場のジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンの注文を1件も受けることができず、閉鎖の危機に瀕しているという。南アフリカのアスペン社は、2024年までに、アフリカ大陸で使用するワクチンの60%を現地生産するという目標を掲げていた。
『ロイター通信』によると、南アフリカの老舗製薬会社アスペンファーマは昨年11月、ジョンソン・エンド・ジョンソン の新型コロナウイルスのワクチンをパッケージ化してアフリカ全域に販売するライセンス契約を取得した。世界保健機関(WHO)は、この契約を、新型コロナワクチンへのアクセスにおける著しい不平等を解消するための「変革の瞬間」と称賛した。
3月末のWHOの最新統計によると、アフリカでは成人の6分の1しか2回のワクチン接種を済ませていないため、アスペンブランドのコロナワクチン「Aspenovax」のアフリカ全域での販売は確実に成功すると思われた。...
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『ロイター通信』によると、南アフリカの老舗製薬会社アスペンファーマは昨年11月、ジョンソン・エンド・ジョンソン の新型コロナウイルスのワクチンをパッケージ化してアフリカ全域に販売するライセンス契約を取得した。世界保健機関(WHO)は、この契約を、新型コロナワクチンへのアクセスにおける著しい不平等を解消するための「変革の瞬間」と称賛した。
3月末のWHOの最新統計によると、アフリカでは成人の6分の1しか2回のワクチン接種を済ませていないため、アスペンブランドのコロナワクチン「Aspenovax」のアフリカ全域での販売は確実に成功すると思われた。
南アフリカでは、現在2回のワクチン接種を済ませている人が人口の30%にとどまっており、第5波が押し寄せている。しかし、アスペンファーマのシニアディレクター、スタブロス・ニコラウ氏は、「注文は来ていない。ワクチンの注文がなければ、現在使用している製造ラインを維持する理由はない」と語っている。
英『BBC』によると、南アフリカのラマポーザ大統領は4日、「我々の大陸で使用されるワクチンが、実際に現地で製造している企業から購入されるようにする」ために、ケニア、ルワンダ、エジプト、ガーナと協議を進めていると語った。
しかし、アスペンファーマのニコラウ氏は、アフリカ各国からの購入だけでは、南アフリカのワクチン製造ラインを救うには十分ではないと語っている。
ニコラウ氏は、裕福でない国々にワクチンを調達するために設立された組織COVAXは、アフリカの生産者から購入するためにもっと努力するべきだったと指摘している。COVAXが購入した20億人分のワクチンは、アフリカ大陸から購入したものではないという。同氏は、世界の調達担当者たちはより努力して購入先を変える必要があると述べている。
一方、COVAXのために調達を担当する世界的なワクチンアライアンス「Gavi」は、現在のところ問題は需要だと主張している。また、アスペンファーマは、2020年と2021年はまだ「ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンのより広範な製造ネットワークの一部」であったため、COVAX に供給する量について調整してもらうことは不可能だったと説明している。
Gaviは、現在、アスペンファーマが自社ブランド名でジョンソン・エンド・ジョンソンのコロナワクチンを製造・販売するライセンスを持っていることを歓迎しつつも、「大量のワクチンを発注できる状況にはない」としている。世界の多くの国でワクチン接種率は低下しており、アフリカ疾病管理予防センター(アフリカCDC)が発表した数字では、アフリカ大陸の人々のわずか16%が2回のワクチン接種を受けているに過ぎないことが明らかになっている。
専門家の中には、多くのアフリカ諸国でのワクチン接種が遅れている理由として、コロナワクチンの安全性や有効性に対する懸念を挙げる人もいる。なお、アフリカは当初ワクチンの入手に苦労したものの、供給が過剰になり、必要な期間内に使い切ることが難しく、廃棄せざるを得ない場合が出てきている。
アフリカCDCは、アフリカの生産者から購入することは「政治的決定である」と主張している。これを慈善事業と見るのではなく、「今回のパンデミックと将来的なパンデミックを取り除くための世界戦略の一部」とすべきだと語っている。
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