ヨーロッパの主要経済圏では、患者数や入院者数の急増する中、ここ数週間導入されていたコロナ規制の撤廃が始まっている。一方で、ワクチンパスを導入する欧州諸国で反対デモが続いている。
米メディア
『エポックタイムズ』によると、英国のボリス・ジョンソン首相は、イングランでは1月27日から、公共の場でマスクを着用したり、一部の会場に入場する際にワクチン接種を証明したりする必要がなくなることを発表した。ジョンソン首相は先週、ブースター接種キャンペーンが進んでいることと、より厳しい規制となる「プランB」に対する国民の反応とを鑑みて、イングランドでは「プランA」に戻し、「プランB」の規制を27日から失効させると述べた。首相は、オミクロン株の感染拡大が今や全国的にピークを過ぎたことを示唆するデータをもとに「内閣は、規制が失効すれば、政府はどこにおいてもフェイスマスクの着用を義務付けないという結論を出した」と語った。
近隣のアイルランドでは22日、新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にあることを踏まえ、屋外や屋内のイベントでの定員制限を含む、ほぼすべてのコロナ関連の行動規制を撤廃した。時短や社会的距離を置くための措置も解除された。アイルランドのミホル・マーティン首相は、「春がやってくる。これほど楽しみにしていたことはなかったかもしれない。人間は社会的な存在であり、私たちアイルランド人は人一倍社交的です。この春を楽しみにしながら、私たちは再びお互いに会い、笑顔を見せ、歌う必要があります」と述べている。
フランスのジャン・カステックス首相も先週、フランスの新型コロナウイルスの患者数と入院者数が改善されていると主張し、数週間以内に規制を撤廃し始めると述べた。仏経済紙『レゼコー』によると、カステックス首相は、すべての地域でデルタ株が減少していること、重症化する危険がデルタよりも低いオミクロン株が主流となっていること、ワクチン接種が進んでおり、ワクチン接種パスの発効が近いことから、行動規制を段階的に緩和していくことを明らかにした。同紙は、規制緩和の早めの発表は、フランス政府がいかに敏感であるかということを表していると同時に、相次ぐコロナの波に直面するフランス国民の疲弊を懸念していることも示している、と報じている。いくつかの世論調査で、フランス人の過半数が健康危機への対応について行政を信頼していない、という結果が見られたという。
行動規制が緩和される国がある一方で、ワクチンパスを導入している国々では市民による反対デモ運動が行われている。仏放送局『ユーロニュース』によると、フランスでワクチンパスの導入に反対する人々は、施行2日前の22日、フランスのいくつかの都市でデモ行進を行い、ワクチン接種者と非接種者の間に政府が「アパルトヘイト」を課していると糾弾した。警察の発表によると、首都パリでは、午前中に黄色いベストが行進し、午後は、15時ごろから数百人がデモ行進を行った。また、南仏のエクサンプロバンスでは700人、モンペリエでは950人、マルセイユでは1200人がデモに集まったという。
12歳以上の83%以上がワクチン接種を終えているスウェーデンでも、22日、ストックホルムとヨーテボリで反ワクチンパス集会が開催され、何千人もの人々が参加したという。デモ参加者は、「自分の体をどうするか、自分で決められるようにしなければならない」と訴えている。スウェーデンでは12月1日にワクチンパスが導入されている。
その他、ヘルシンキ(フィンランド)、グラスゴー(スコットランド)、ビルバオ(スペイン)でも同様のデモが行われた。なお、仏公共メディア『フランスアンフォ』によると、ベルギーでは23日、首都ブリュッセルで約5万人のデモ隊が行進し、コロナ関連の行動規制に抗議した。これまでの行進より規模が大きくなったデモ行進には、「自由のための世界的なデモ」連合や「自由のためのヨーロッパ人」連合などの主催者が、他のヨーロッパ諸国からのデモ参加者を招待し、オランダ、ポーランド、ルーマニアの国旗も行列の中に見られたという。
集会に参加した複数のジャーナリストがソーシャルネットワークに投稿した画像によると、集会は活動家と警察の間で衝突があり、欧州機関の近くに集まった群衆を鎮めるために催涙ガスや放水銃が使用され、デモ隊は警察車両を襲ったという。ベルギー警察は、このデモで、約70人が逮捕されたと報告している。警官3名とデモ参加者12名が入院したが、命に別状はないという。また、警察の車やEUの建物など、広範囲に及ぶ物的損害が報告された。EUのジョゼップ・ボレル外相は、覆面をした犯人が外務本部のガラス扉を壊したことを受けて、「無意味な破壊と暴力」だと非難した。
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