2020年1月11日に、中国の武漢で、世界で初めて新型コロナウイルスによる死者が発表された。その2ヵ月後、中国当局は中国本土を世界から孤立させるという決断を下し、「ゼロ・コロナ」政策を取り続けている。そして現在、中国当局はオミクロン株の流行を恐れて、世界中で使用されているスポーツシューズ、半導体、電池、その他医薬品の部品を製造している巨大な工業盆地を封鎖して、外国企業の生産計画に打撃を与えている。
仏
『フランス・アンテール』によると、中国政府は「ゼロ・コロナ」政策をかかげ、これまで新規感染者が2人確認されたことを受けて人口1700万人の都市である深センが封鎖され、現在は西安で、1300万人の住民が150人の新規感染者のために都市封鎖に見舞われている。
『フランス・アンテール』は、「当然、中国は自分の好きなようにやって良い」。しかし、「このゼロ・コロナ戦略は世界経済に悪影響を与えていることが問題だ」と主張している。内外の制約により、原料の採取は中断され、港は定期的に封鎖され、移動ができなくなってしまっている。つまり、グローバルな生産チェーンが破壊されている。
経済協力開発機構(OECD)の首席エコノミスト、ローレンス・ブーン氏は、2021年、中国のゼロ・コロナ政策は、世界に対して解決した問題よりも多くの問題を引き起こしたと述べている。例えば、現在の自動車には、エンジンの冷却、バッテリー、タイヤの空気圧、照明、ブレーキなどを制御する電子チップが1000個搭載されている。このチップはアジアや中国からやってくる。しかしゼロ・コロナ政策がチップ不足を引き起こし、世界の自動車生産台数が25%減少した。だが、中国政府は短中期的には今の対コロナ戦略を変えるつもりはない。
米『CNBC』も、中国政府のゼロ・コロナ政策は、世界中の製造および出荷業務に影響を与え、サプライチェーンの危機を悪化させたと伝えている。また、感染力の強いオミクロン株が、海運業に新たな打撃を与えるのではないかという懸念も再燃していると指摘している。
世界第2位の経済大国である中国は、昨年、世界で3番目に交通量の多い寧波舟山港の主要ターミナルを閉鎖した。これは労働者1人がコロナに感染していることが判明したためで、中国が主要港の操業を停止したのはこれが2度目となった。
ゴールドマン・サックスは11日、2022年の中国の経済成長率の見通しを、前回の4.8%から4.3%に引き下げた。米投資銀行の分析は、中国がオミクロン株を封じ込めるために企業活動の制限を強める可能性があるとの予想に基づくものだ。
米『ブルームバーグ』によると、調査会社であるガートナー社でサプライチェーンを専門とするトーマス・オコナー氏は、「中国は依然として世界の製造業の中心になっている」と述べており、今後、「もし、中国でコロナ関連の製造や物流の大幅な停止があれば、世界の経済環境に大きな影響を与えることになる」と指摘している。
昨年は、ベトナムやマレーシアなどの製造国が厳しいロックダウンを実施し、半導体や衣料品などの生産が大幅に遅れたため、東南アジア全体の生産が打撃を受けた。中国に生産を戻す企業も出てきており、中国国内での感染者の出現、海運の混雑、米国やその他の港での問題にもかかわらず、記録的な量の製品を輸出することができた。
しかし、HSBCホールディングスのアジア経済調査部門共同責任者であるフレデリック・ノイマンは、中国やその他のアジア諸国におけるオミクロン株感染者の急増は、サプライチェーンの大元である中国のつまずき誘発する可能性があると警告している。
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