米CNNの報道によると、米左派政権は、支持率の低下が続くバイデン大統領にとって深刻な問題となっているサプライチェーン危機やその他の経済的苦境に関する報道をより肯定的な内容に変更してもらうために、アメリカの主要メディアの記者たちと水面下で打ち合わせを行っていたことが判明した。
『CNN』のメディア・ニュースレターによると、「バイデン政権はサプライチェーンや経済に関するニュースメディアの報道に満足しておらず、報道内容を自分たちに有利なものに変えようと水面下で動いている。ホワイトハウスの国家経済会議(NEC)副代表のデビッド・カミンとバラット・ラマムルティ、運輸省港湾担当のジョン・ポーカリなど、政府高官と実務担当者たちが、先週から主要な報道機関に説明を行っているとの情報が入った。関係者は、雇用創出、経済成長、サプライチェーンなどの動向について報道機関と話し合いを行い、アメリカの経済は、昨年よりもはるかに良い状態にあるということが基本的な主張であった。聞くところによると、キャスターやレポーター、プロデューサーが関係者と話をすることで、生産的な話し合いが出来たという。」
米『ナショナルレビュー』は、ホワイトハウス関係者は報道機関を巻き込むことに成功しているようだが、表面的なものの見方では重要な背景が見えてこない、と指摘している。昨年のこの時期には、新型コロナウイルスのワクチンはまだ発売されておらず、厳しい経済的制限が感染拡大の主な緩和手段となっていた。また、2020年3月に外出制限の規制がかけられたことによって失業者が急増した時期にも近い。現在、失業率の低下は続いているものの、雇用の伸びは予想を下回っており、インフレ率は過去数十年で最も高い水準にまで上昇しているのが現状である。
米『デイリーワイヤー』は、現在、アメリカの有権者にとっての最重要課題はインフレであり、この問題は一向に改善される気配がなく、専門家は今後何ヶ月も高止まりする可能性があると警告しており、民主党政権にとって深刻な脅威となっている、と伝えている。全米企業エコノミスト協会(NABE)の副代表であるジュリア・コロナド氏は、「食品やエネルギーコストを除いたコアの消費者物価指数は、2020年第4四半期から2021年第4四半期にかけて6.0%上昇すると予想され、9月の予測では同期間に5.1%の上昇とされていた。」 と述べている。
11月中旬に発表されたワシントンポスト/ABCニュースの世論調査によると、もし今日中間選挙が行われた場合、有権者は51%対41%と10ポイントの差で、民主党の下院議員候補者よりも共和党の下院議員候補者に投票することが明らかになった。
なお、米『タウンホール』によると、ソーシャルメディアでは、「政府は、失敗した政策をごまかそうとするよりも、より良い政策を作り直すことにもう少し時間を割くべきだろう。」という声や、アメリカのメディアが「国家報道機関と化している」といった声が上がっている。また、これまで複数の賞を受賞してきたジャーナリストのアダム・ホゥースリーは、「これは気がかりではないか。私は特派員として、政治家が私に電話をかけてきたり、ロビー活動をしたりするのをいつも嫌っていた。事実を教えてくれれば、私は事実を報道する。報道機関と一緒に報道を形作ることは、プロパガンダを押し付けることだ。(CNNが)話し合いが生産的だったと認めるとはどういうことだ。」と非難している。
閉じる