出生数の減少が続く中国は、人口がすでに減少している可能性があると指摘する専門家達が出てきている。中国政府は人口減少のスピードを軽視している可能性があり、3人家族を推進する最近の政策は出生率を改善する可能性が低いとも指摘されている。
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『ブルームバーグ』によると、人口学者であるHe Yafu氏は11月に自身のSNSアカウントに、今年の新生児の数は950万人から1050万人になるだろうと指摘した。「新生児の数が予測の下限に近い場合は、人口がマイナス成長になることを意味する」と書いているが、これは最近の年間平均死亡者数が約1千万人であるためだ。
中国政府は、夫婦が産める子供の数の制限を事実上撤廃し、子育ての費用を安くするなど、家庭への支援を強化することを約束している。...
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『ブルームバーグ』によると、人口学者であるHe Yafu氏は11月に自身のSNSアカウントに、今年の新生児の数は950万人から1050万人になるだろうと指摘した。「新生児の数が予測の下限に近い場合は、人口がマイナス成長になることを意味する」と書いているが、これは最近の年間平均死亡者数が約1千万人であるためだ。
中国政府は、夫婦が産める子供の数の制限を事実上撤廃し、子育ての費用を安くするなど、家庭への支援を強化することを約束している。それでも、新生児の数は2020年の1200万人から今年も減少する可能性があると、国家衛生委員会が7月に発表していた。
He Yafu氏の予測は、各地方自治体が発表した最近のデータを分析したもので、そのほとんどが急激な減少を示しているという。例えば、人口の多い山東省の徳州市では、1月から9月の新生児の数が前年同期比で17.9%減少していた。また、新生児の聴覚検査の統計をもとに計算したところ、中部の河南省でも上半期に同様の減少が見られた。また、安徽省の地元紙が9月に発表した予測では、今年の出生数は17.8%減少し、4年連続で2桁の減少となった。また、江蘇省東部の泰州市では、今年の1月から8月の新生児数が昨年に比べて43.4%減少した可能性が高いと、地元当局の統計をもとに算出した。
米『エポックタイムズ』によると、米ウィスコンシン大学産婦人科で上級研究者であるFuxian Yi氏も、中国の2020年の人口は、国勢調査で報告された14億1千万人ではなく12億8千万人であり、出生率は報告されたものよりも低いと推定している。そして、中国の人口は2018年から減少していると考えている。
最近の公式データによると、中国の2020年の女性1人当たりの出生率はわずか1.3人で、日本やイタリアのような高齢化社会と同程度であり、代替水準に必要な約2.1人には遠く及ばない。Yi氏は、一人っ子政策の制約を受けなかった中国の少数民族の長年にわたる出生率の低下に基づいて、実際の出生率はもっと低いと推定し、独自の低い推定率に基づいて人口を算出した。また、地方自治体は中央政府からの教育費などの補助金を多く得るために、人口を過大評価しているという。出生届に関連する20以上の社会的給付があるため、闇市場を利用してオンラインで2枚目の出生証明書を購入している家庭もあるという。Yi氏は、中国の「人口は主に金銭的な利益のために誇張されている」と指摘している。
出生率が急速に低下していることから、経済成長の鈍化や、高齢者を支える労働者の減少によって生じる潜在的な課題が懸念されている。
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