米国立衛生研究所(NIH)の幹部が20日、NIH助成金が中国の武漢ウイルス研究所での人工ウイルスの機能獲得実験に資金を提供していたことを認めた。また、NIHの資金を武漢ウイルス研究所に流した米国の非営利団体エコヘルス・アライアンスの研究は透明性に欠けていたことを明らかにした。
『ブライトバート・ニュース』によると、分子生物学者のリチャード・ H・エブライト氏は、米国立衛生研究所(NIH)が10月20日に上院監視委員会の役員を務めるジェームズ・コーマー議員に宛てた書簡を同日公開し、数ヵ月前に上院で米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のファウチ博士が、中国の機能獲得実験のために武漢ウイルス研究所に資金提供したことはないと証言していたのとは逆に、実際にはNIHの助成金が武漢ウイルス研究所での機能獲得実験に使われていたことを明らかにした。
ファウチ博士は、今年5月の公聴会で上院議員に対し、NIHは「武漢ウイルス研究所の機能獲得研究に資金提供したことはなく、現在もしていない」と証言していた。しかし、書簡では、エコヘルス・アライアンス向けのNIH助成金は、2018年と2019年の間に武漢研究所の研究プロジェクトの資金にまわされていたと示唆されている。中国の研究所では「中国で自然に存在するコウモリコロナウイルスからのスパイクタンパク質が、実験用のヒト化ACE2マウスに結合できるかどうか」をテストしていたという。そして「この限られた実験では、SHC014WIV1コウモリコロナウイルスに感染した実験用マウスはWIV1コウモリコロナウイルスに感染したマウスよりも病気になった。」ことが確認されていた。米保健福祉省によると、「機能獲得」研究とは、病原体が病気を引き起こす能力を向上させる研究のことである。
書簡を公開したエブライト氏は、NIHが書簡の中で「コリンズNIH所長とファウチNIAID所長が、NIHは武漢での機能獲得実験に資金を提供していなかったという事実無根の主張を訂正する 」と記しているとツイートした。
米『ナショナルレビュー』によると、NIHは、機能獲得実験がNIHの資金で行われていたことを認めただけでなく、エコヘルス・アライアンスが助成金に関する報告義務を怠っていたことも明らかにした。エコヘルス・アライアンスは、研究に関連する危険性を高める可能性のある特定の進展があった場合、「二次審査」を受けることを義務付けられていた。つまり、武漢の研究者がマウスで天然のコウモリコロナウイルスを実験用マウスに結合させることに成功したとき、NIHに報告することになっていたのだが、それをしなかったのである。エコヘルス・アライアンスは、コンプライアンスのためにこの研究に関連する「あらゆる未発表のデータ」をNIHに提出するよう、5日間の猶予が与えられているという。
米『フォックスニュース』によると、ファウチ博士は、武漢での研究にNIHの資金が投入されたことを公聴会で繰り返し否定し、「議会で嘘をついたことはありませんし、その発言を撤回することもありません」と述べてきた。しかし、NIHはエコヘルス・アライアンスに数百万ドルの助成金を提供しており、そのうちの少なくとも60万ドル(約7千万円)が武漢でのコロナウイルス研究に注ぎ込まれていることが明らかになっている。
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