フランスの首都パリで、学童数が1年間で5%減少した。新型コロナの流行によって多くのパリジャン家庭が、郊外や地方への移住を選択しており、その影響で一部の学校では学級閉鎖を余儀なくされているという。
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『フランスアンフォ』によると、今年、パリ市の公立小学校における児童数は前年(2019-2020年)に比べて6千人減少し、5%という前代未聞の落ち込みを見せていることが判明した。パンデミックはこの減少の原因の一つであり、より過ごしやすい環境を求めて多くの家族が首都から離れていっているという。昨年9月の新学期には、3700人の減少であった。今年の新学期における6千人の児童数の減少は、前年に比べてはるかに多い。
しかし、過去10年間の平均で、パリ市では毎年学童が平均して2500人減少してきた。今年は、パリ13区や17区など、活気のある地区を中心に43のクラスが開設された一方で、全体では合計63のクラスが閉鎖された。パリ市内のすべての区で家族移住の影響が見られるものの、9区、10区、11区の3地区で最も減少が顕著であった。
パリ20区にある学校の校長は「去年は140人だった生徒が今年は115人になってしまった」と述べている。この校長によると、多くの家族が郊外や地方に移り住んでいるという。しかし、「私たちはこれを有効活用している」と付け加えている。クラスが少人数制となることで、先生と生徒にとって学習環境としては良い条件が揃うからだ。公式数字では、パリでは1クラスの平均生徒数は20.5人になっている。しかし、校長は「年度初めには生徒数の調整を行い、クラス閉鎖も検討する必要があるだろう」と学校の将来について心配もしているという。
米『ハフィントンポスト』によると、ここ数年、パリは子育て世代を中心に人気が落ちているという。フランス統計局(INSEE)が2020年12月に発表したレポートによると、首都では2012年以降、毎年平均1万8百人の住民が減少している。その結果、学校も児童数が減少している。公立の小学校では2016年から2019年の間、年によって2千人から3千人の間で減少してきた。そこに新型コロナのパンデミックによるロックダウンが何度か実施されたことで、庭付きの家やより広い居住空間を求める声が高まっているという。
しかし、INSEEは2020年以前のデータを基にした報告書で、「パリの住宅価格の高騰、家族向けの大型住宅の供給の減少、異なる生活環境を求める志向などが、こうした移住の流れを説明する主な要因である」と指摘している。
なお、こうした移住は、必ずしもパリから遠く離れるわけではない。INSEEは、「その半数がイル・ド・フランス地方に滞在している」と指摘しており、パリ市内を除けば、「2013年から2018年の間に、すべてのイル・ド・フランス地方で人口が増加した」と明記している。
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