中国では大雨による炭鉱閉鎖や石炭価格高騰による電力不足が問題となっており、政府が石炭の増産を指示するなど安定的な電力供給の必要性に迫られている。11月にイギリスで国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)が開催されるが、中国の石炭政策転換は、今後の国連会議に影響を与えるとみられている。
10月12日付英国
『Guardian』は「中国の石炭増産計画、COP26(国連気候変動枠組条約会議)へ打撃」との見出しで以下のように報道している。
中国が石炭工場の増設やCO2排出削減計画を見直すとみられている。英グラスゴーで来月開催される国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)を前に、中国の李克強首相は国家エネルギー委員会後の声明で、各地で停電が相次いだことを念頭に「安定的な電力供給の必要性」を強調。...
全部読む
10月12日付英国
『Guardian』は「中国の石炭増産計画、COP26(国連気候変動枠組条約会議)へ打撃」との見出しで以下のように報道している。
中国が石炭工場の増設やCO2排出削減計画を見直すとみられている。英グラスゴーで来月開催される国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)を前に、中国の李克強首相は国家エネルギー委員会後の声明で、各地で停電が相次いだことを念頭に「安定的な電力供給の必要性」を強調。2030年をピークとするCO2排出削減計画を発表していた中国だが、エネルギー危機による目標見直しを検討していることが伺える。
2060年を目標とするカーボンニュートラル計画実現には600の石炭工場を閉鎖する必要がある。習金平首席も世界に向けて石炭工場増設中止計画を発表していた。また、石炭の主要生産地である山西省と内モンゴル自治区に電力供給対策をとるよう指示したと報じられている。
中国の石炭政策転換は今後の国連会議に影響を与えるとみられている。中国は以前にも、パンデミックによる経済状態悪化で石炭生産規制を緩和。新たな規制緩和が数週間ならそれほど問題とはならないが2022年まで継続となると、経済優先の気候変動政策楽観論は見直しを迫られることとなるだろう。
同日付『Yahooニュース』(AXIOS引用)は「中国の石炭依存が気候変動目標を揺るがす」との見出しで以下のように報道している。
世界最大のCO2排出国である中国のエネルギー危機問題は、国連気候変動サミットで重要な位置を占めるとみられている。中国では電力不足により石炭供給が増加、中国政府へ排出量削減への貢献を求める各国との間に亀裂が生じかねない。
国営メディアによると、中国の李克強首相は「当局は排出削減計画を評価するうえで、電力や石炭の供給と需要の相違を考慮すべき」と発言。一方、サミットに向けて、中国により高い目標を求める動きもある中、このタイミングでのエネルギー危機により、中国の気候問題政策はより複雑化しエネルギー移行のスピード感が鈍るとみられている。
石炭生産地である山西省では、大雨や洪水など天候も石炭不足の一因となっている。洪水により鉱山の数十か所が閉鎖を余儀なくされた。気候変動に関する調査によると、頻発する大雨は人的気候変動が一因との見方がなされている。
閉じる