中国では、不動産バブル抑え込みを狙った当局の締め付け強化で、資金繰りに行き詰まる不動産開発業者が続出している。その中でも、業界大手の恒大集団(1996年創業、本社は広東省深セン)が約1兆9,700億人民元(約33兆円)の負債を抱えて経営危機に追い込まれている。果たして中国政府が救済に乗り出すのか注目されるが、エンロン事件(注1後記)発生を予想した米ヘッジファンドマネジャーは、もし恒大集団が破綻すると、中国投資家にとっては2008年のリーマンショック以上に深刻となると警鐘を鳴らしている。
9月23日付
『Foxニュース』:「エンロン事件を予想した投資アドバイザー、恒大集団破綻は中国にとってリーマンショック以上に“深刻”と警鐘」
ある米ヘッジファンドマネジャーが、もし中国不動産開発大手の恒大集団が破綻したら、中国の投資家にとっては、2008年の“リーマンショック級”以上に“深刻”な影響を与えると警鐘を鳴らした。
米国で20年前に発生したエンロン事件を予想したジム・チェイノス氏(63歳)で、彼は空売り取引(注2後記)のベテランであり、投資助言会社キニコス・アソシエイツ(1985年設立)の創業者兼社長である。...
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9月23日付
『Foxニュース』:「エンロン事件を予想した投資アドバイザー、恒大集団破綻は中国にとってリーマンショック以上に“深刻”と警鐘」
ある米ヘッジファンドマネジャーが、もし中国不動産開発大手の恒大集団が破綻したら、中国の投資家にとっては、2008年の“リーマンショック級”以上に“深刻”な影響を与えると警鐘を鳴らした。
米国で20年前に発生したエンロン事件を予想したジム・チェイノス氏(63歳)で、彼は空売り取引(注2後記)のベテランであり、投資助言会社キニコス・アソシエイツ(1985年設立)の創業者兼社長である。
同氏は英国経済紙『フィナンシャル・タイムズ』(1888年創刊)のインタビューに答えて、恒大集団の負債総額は世界の不動産開発企業の中で最大で、もし同社が破綻すると、直近十年で中国経済の発展に寄与してきた不動産産業は頓挫することになろう、とコメントした。
同氏は、“中国には恒大集団のように、資金繰りに喘ぐ不動産開発会社が多くあり、中国の不動産市場は過大評価されていたという点に尽きる”と付言している。
負債総額が3千億ドル(約33兆円)の恒大集団が破綻した場合、海外も含めた社債権者に大きな痛手となる。
同社は9月22日、9月23日に償還期限を迎える社債について、償還は“可能”だと発表した。
しかし、中国国内の社債権者が対象であって、世界大手の投資運用会社を含めた海外の社債権者宛の償還については言及していない。
同氏は、“世界の機関投資家にとって、恒大集団の破綻が発生しても(13年前の)リーマンショック時ほど深刻とはならないだろう”としながらも、“中国の投資家にとっては、中国の経済発展の象徴とされた不動産産業が危機に瀕することになるので、その影響は計り知れない”と強調している。
なお、恒大集団の資金繰り問題は、昨年半ばに習近平国家主席(シー・チンピン、68歳)が資金調達総量規制を導入して以来、より深刻化してきていた。
(注1)エンロン事件:テキサス州・ヒューストン在の総合エネルギー取引・ITビジネス企業のエンロン(1985年設立)が、不正経理・不正取引による粉飾決算をしていたことが2001年10月に発覚し、同年12月に破綻したもので、世界の株式市場に大きな衝撃を与えた事件。
(注2)空売り取引(英: short selling):投資対象である現物を所有せずに、対象物を(将来的に)売る契約を結ぶ行為。商品先物取引や外国為替証拠金取引でも用いられる用語だが、差金決済を前提としたこれらの市場では売り買いとも「空(から)」である事が前提であるため端的に売り、ショートと呼ぶことが多い。対象物の価格が下落していく局面でも取引で利益を得られる手法のひとつ。
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