13日に投票が行われたノルウェーの総選挙。左派の労働党は、国内の石油産業と気候変動に焦点を当てた選挙戦の結果、8年間の保守党政権に終止符を打つことに成功した。労働党党首は、14日に連立政権樹立のための交渉を開始する。
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『インデペンデント』によると、開票率約98%の段階で、169議席の議会において、労働党は左派の盟友である社会主義左翼党やユーロ懐疑派の中央党とともに100議席を獲得した。この勝利により、北欧地域全体が左派政党によって支配されることになる。
気候変動が議論の中心となった今回の選挙では、退任するソルベルグ首相の保守党は大敗し、9議席を失って37議席しか確保できず、連立を組む進歩党も議員数を減らした。...
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『インデペンデント』によると、開票率約98%の段階で、169議席の議会において、労働党は左派の盟友である社会主義左翼党やユーロ懐疑派の中央党とともに100議席を獲得した。この勝利により、北欧地域全体が左派政党によって支配されることになる。
気候変動が議論の中心となった今回の選挙では、退任するソルベルグ首相の保守党は大敗し、9議席を失って37議席しか確保できず、連立を組む進歩党も議員数を減らした。一方で、中央党が3.6ポイント増の約14%の得票率を獲得し、最大の成果を上げた。
労働党は、中央党などと連立政権発足に向けた交渉を開始する。新政権は今後、地球温暖化や貧富の差の拡大に対する有権者の懸念に対処すると同時に、石油生産からの脱却が、雇用の移行を含めて、段階的なものになるように対処していくことが求められる。新首相の産業政策には、風力発電、天然ガスを利用して代替燃料を生産するブルー水素、炭素回収・貯留などのグリーン産業の促進が含まれる。
仏『BFMTV』によると、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が8月上旬に発表した「人類にとって非常事態」だとする報告書を受けて、ノルウェー総選挙は、地球温暖化問題が議論の中心となり、これまで国を豊かにしてきた石油ビジネスの今後に関する政策に注目が集まった。8月20日に発表された世論調査では、ノルウェー人の35%が生産中止に賛成と答えている。
しかし石油産業はノルウェーのGDPの14%、輸出の40%以上を占めており、16万人が雇用されている。石油産業との決別はノルウェーにとって痛手となる。長年にわたり、石油とガスは、手厚い福祉制度だけでなく、電気自動車の購入奨励、熱帯林の保護、CO2の回収・貯留など、高額な気候変動対策の資金源にもなってきた。そのおかげで、世界最大の政府系ファンドが形成され、現在では12兆クローネ(約150兆円)という途方もない額になっている。
新首相になるとされているストーレ議員は、主に農村部の利益を擁護する中央党と、環境問題を重視する社会主義左翼党との間で、難しいかじ取りが迫られることになる。特に石油産業からの脱却の緊急性については相反する立場をとることが多く、中央党は選挙期間中、社会主義左翼党とは連立政権を組みたくないと述べていた。
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