テニス・全米女子オープン決勝は、22年振り2度目の十代対決となった。それ以上に注目されるのは、両選手の母親が、大坂なおみ選手と同様アジア系(中国出身とフィリピン出身)であることである。そして、両選手の父親がそれぞれ東欧ルーマニア、南米エクアドル出身であることから、それぞれの国においても、テニスファンでもない市民からも大いに注目されている。更に言えば、両選手とも2002年カナダ生れ(一人は英国に移住して英国籍で出場)という共通点もある。
9月10日付
『AP通信』:「全米女子オープン決勝戦に挑む両十代選手に世界中が注目」
9月11日に決勝戦が行われる、女子プロテニス四大大会のひとつ全米オープンは、22年振り2度目となる十代選手による対決となることで注目されている。
1999年大会では、セリーナ・ウィリアムズ選手(米国、当時17歳)がマルチナ・ヒンギス選手(スイス、同18歳)を破っている。
今回、それ以上に注目されるのが、両選手のルーツに伴い、出身地の国において、テニスファン以外の多くの市民から関心が持たれていることである。...
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9月10日付
『AP通信』:「全米女子オープン決勝戦に挑む両十代選手に世界中が注目」
9月11日に決勝戦が行われる、女子プロテニス四大大会のひとつ全米オープンは、22年振り2度目となる十代選手による対決となることで注目されている。
1999年大会では、セリーナ・ウィリアムズ選手(米国、当時17歳)がマルチナ・ヒンギス選手(スイス、同18歳)を破っている。
今回、それ以上に注目されるのが、両選手のルーツに伴い、出身地の国において、テニスファン以外の多くの市民から関心が持たれていることである。
すなわち、レイナ・フェルナンデス選手(2002年、カナダ・モントリオール生れの19歳)の父親のジョルジュ・フェルナンデス氏はエクアドル出身で、母親はフィリピン系カナダ人である。
世界ランキング73位であるフェルナンデス選手は、エクアドル、フィリピンにおいて然程知られていなかったが、3回戦で昨年優勝者の大坂なおみ選手(23歳)を破って以来、両国の地元メディアがルーツを引き合いに出して注目報道し始めている。
フェルナンデス氏は9月10日のインタビューで、エクアドルのギレルモ・ラッソ大統領(65歳)及びカナダのジャスティン・トルドー首相(50歳)から、それぞれ注目しているとのツイッター投稿があったと明かしている。
また、フェルナンデス選手自身にとって、2019年大会でビアンカ・アンドレースク選手(当時19歳)がウィリアムズ選手を破って優勝して以来、カナダ出身2人目のチャンピオンになれるかどうかという点でも、カナダ市民から注目されている。
ただ、同選手にとって、年少の頃はカナダでの生活は余り良いものではなく、小学5年か6年生のときの女性教師から、“テニスで成功できる保証などないから、ラケットを置いて、今は勉強に集中するように”と諭されたという。
同選手は、“今は笑って話せること”と述懐しているが、中学校卒業後に父親の意向もあってフロリダ州に拠点を移して以降、テニスに磨きがかかって現在に至ったと言える。
一方、エマ・ラドゥカヌ選手(2002年、カナダ・トロント生れの18歳、2歳のときに英国に移住し、英国籍)は、本選前の世界ランキング150位のため、予選から出場したが、四大大会において予選から決勝まで勝ち上がった初めての選手となっている。
そして同選手の父親がルーマニア出身であることから、東欧の国でも注目が集まっている。
更に、同選手の母親が中国人であることから、自身の試合に中国国民が注目してくれることを期待しているかも知れない。
何故なら、2011年の全仏オープンで、中国出身の李娜選手(リー・ナ、当時29歳)がアジア人として初めて四大大会を制覇した際、中国の1億1,500万人以上の人がテレビ視聴したというニュースを、同選手は今でも覚えているからである。
そして同選手は、中国人の母親から、“若年代の頃からハードワーク(練習や勉強・就労等)を躾けられた”こともあって、“従って、中国出身の李娜選手のことは、年少の頃も現在も尊敬の念を持っている”とコメントしている。
これに関しては、フェルナンデス選手の父親も同様に、同選手の母親がフィリピン出身であることから、“フィリピン人のファイティング・スピリットという血を受け継いでおり、それは素晴らしいことだ”と述べている。
なお、両選手は、2018年のウィンブルドン選手権ジュニア・トーナメントで戦っており、そのときはラドゥカヌ選手がフェルナンデス選手を破っている。
ただ、2002年カナダ生れの両選手は、カナダと英国という大西洋を挟んだ国で育ったため、中々連絡を密にすることができなかったが、ラドゥカヌ選手によれば、国際試合等で落ち合う場合はいつも親交を温めているという。
そして同選手は、“9月11日の決勝戦の場でも、ネットを挟んで仲の良い挨拶を交わすことになると思う”と語っている。
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