ロシアはノルドストリーム2によりヨーロッパ向けにウクライナを経由しないで天然ガス輸出を増加することを計画した。しかし、このパイプライン建設については多くの物議を醸しだした。
今回のパイプライン完成の発表はロシアにとってある種の勝利宣言となる。というのは100億ユーロ(=約1.3兆円)の投資額のパイプライン建設プロジェクトから生まれた外交的な圧力が一時はあまりにも強く、パイプライン建設は実現できないものとの見方が多かった。...
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ロシアはノルドストリーム2によりヨーロッパ向けにウクライナを経由しないで天然ガス輸出を増加することを計画した。しかし、このパイプライン建設については多くの物議を醸しだした。
今回のパイプライン完成の発表はロシアにとってある種の勝利宣言となる。というのは100億ユーロ(=約1.3兆円)の投資額のパイプライン建設プロジェクトから生まれた外交的な圧力が一時はあまりにも強く、パイプライン建設は実現できないものとの見方が多かった。
とりわけヨーロッパや米国のパイプライン計画を誹謗する人たちは、このパイプラインがヨーロッパの欧米諸国の戦略的なライバルであるロシアへのエネルギー依存度を増すことになり、同盟国ウクライナの利益に反することになると主張してきた。ところが、もう一方でロシアと共にノルドストリーム2計画を推進したドイツはロシアからの天然ガス供給をこれまでの2倍にすることを希望してきた。
なおノルドストリーム2パイプラインは年間550億m3の天然ガスを送出する容量を持ち、バルチック海の海底を経由して1230kmの距離を踏破する。これは2012年から運転されているノルドストリーム1と同じルートを使っている。
これまでの数年間、ノルドストリーム2計画は米国とドイツ間を対立させ、さらにヨーロッパ諸国間の対立に発展し、はたまたロシアとウクライナの対立関係を生んだ。しかし、最後にバイデン大統領の就任以降、米国とドイツ間で妥協が成立し、今回のノルドストリーム2パイプラインの完成に至った。
なお、ドイツの今後のエネルギー転換政策でノーカーボンを目指す上では天然ガスは従来の石炭火力発電から天然ガス火力発電への過渡的な転換に過ぎない。
地球温暖化防止のため、過度にロシアの天然ガスに依存しないことが望まれる。
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