イタリアの首都ローマのあるラツィオ州のITシステムが、8月1日からハッカー攻撃を受け、コロナワクチン接種の予約サイトとヘルスパスを発行するサイトへのアクセスが出来なくなった。
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『レゼコー』によると、8月1日以降、イタリア当局は「深刻かつ重大なサイバーテロ攻撃」を受けていると発表した。ローマ地域のITサービス、特にヘルスパスの発行や予防接種枠の予約サービスが麻痺している。ただし、サイバー攻撃が始まる前までに予約が済んでいた8月13日までの予約分は予定通り接種が可能だという。
2019年から2020年にかけてのパンデミックの最中、イタリアの行政インフラへのサイバー攻撃は246%と爆発的に増加した。...
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『レゼコー』によると、8月1日以降、イタリア当局は「深刻かつ重大なサイバーテロ攻撃」を受けていると発表した。ローマ地域のITサービス、特にヘルスパスの発行や予防接種枠の予約サービスが麻痺している。ただし、サイバー攻撃が始まる前までに予約が済んでいた8月13日までの予約分は予定通り接種が可能だという。
2019年から2020年にかけてのパンデミックの最中、イタリアの行政インフラへのサイバー攻撃は246%と爆発的に増加した。ラツィオ州当局は、この攻撃の影響を受けた何百万人もの人々の医療データはハッキングされていないことを発表した。仏ニュースサイト『レ・ニュメリック』によると、ラツィオ州のツイッターアカウントは3日、予約サービスは72時間以内に復旧すると明記し、「医療データなど、攻撃されなかったサービスのデータはすべて隔離され、特別なクラウドで保護されている」という。
しかし『レゼコー』は、今回の事故は、サイバー犯罪に対するイタリアの脆弱性を改めて浮き彫りにしたと伝えている。ここ数ヶ月の間に、特に繊維、精密工学、食品加工、保険などの分野で、イタリアの複数の企業がハッカーの被害に遭っている。昨年も、カンパリ、エネル、ルックスオティカ、レオナルドといったイタリア経済の覇者たちが標的となった。IBMの最新レポートによると、イタリア企業がサイバー攻撃を受けた場合の平均コストは319万ドル(約3億5千万円)から361万ドル(約3億9千万円)へと13.5%増えている。企業へのサイバー攻撃による年間コストは70億ユーロ(約9千億円)にのぼるという。
6月中旬、技術革新・デジタル移行担当大臣のヴィットリオ・コラオ氏は、「ハッカー対策シールド」の必要性を認めた。「政権の1万1千台のサーバーのうち95%が老朽化している。450万の中小企業の84%がサイバー攻撃に対応できない」と述べた。その対応策としてサイバーセキュリティに特化した政府機関の設立が発表された。この「国家戦略センター」の設立は、欧州復興計画から9億ユーロ(約1100億円)を得て、2022年半ばまでにオープンできるよう加速されるという。180の公的機関の最も機密性の高いデータが優先的に移行される予定だ。
『フランスアンフォ』によると、ラツィオ州のジンガレッチ首長は、今回の攻撃が「他の国から来たもの」であることを明らかにしたが、どの国から来たのかは特定せず、「その出所はわからない」と述べた。また、地域のコンピュータシステムのブロックを解除するための身代金要求は受けていないと断言した。
今回の「ランサムウェア」の背後にいる人物を特定するため、ローマ検察庁が捜査を開始した。
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