アルコール依存症の治療のように、LGBTの性的指向や認識を矯正しようとする「コンバージョン・セラピー(転換療法)」を違法とする動きが世界でみられている。ニュージーランドでは違反すれば5年以下の懲役刑となる法案が提出された。
7月30日付
『ロイター通信』は「ニュージーランドでLGBT転向療法を禁止する法案」との見出しで以下のように報道している。
ニュージーランドでは29日、個人の性的指向を転換させようとすれば5年以下の懲役とする法案が提出された。効果がなく、有害でさえあると世界的に認識されつつあるLGBTコンバージョン(転換)療法を禁止する狙いがある。
クリス・ファーフォイ法務相は声明で、「個人の性的指向やジェンダー認識に修正が必要だとする、誤った信仰に基づいて行われる療法は現代では意味を成さない。...
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7月30日付
『ロイター通信』は「ニュージーランドでLGBT転向療法を禁止する法案」との見出しで以下のように報道している。
ニュージーランドでは29日、個人の性的指向を転換させようとすれば5年以下の懲役とする法案が提出された。効果がなく、有害でさえあると世界的に認識されつつあるLGBTコンバージョン(転換)療法を禁止する狙いがある。
クリス・ファーフォイ法務相は声明で、「個人の性的指向やジェンダー認識に修正が必要だとする、誤った信仰に基づいて行われる療法は現代では意味を成さない。国内外の医療専門家、宗教指導者、人権提唱者がこれに反対を表明しており、療法が有害でレインボーコミュニティへの偏見や差別、虐待につながる危険があるとの見解を示しているのだ」と述べている。
法案では、コンバージョン療法を18歳未満の人や判断能力に欠ける障害者等へ施し、重大な過失があったとされる場合、5年以下の懲役刑となる。政府はこの療法は一般的な宗教行為とは言えないとの立場を取っている。
世界的にみても、コンバージョン療法を違法とする動きは、カナダ、イギリス、オーストラリアなどで広がりつつある。アメリカでは、連邦法で禁止となってはいないが、州法では、カリフォルニア州、コロラド州、ニューヨーク州、ワシントン州、ユタ州などで一部禁止されている。アメリカ医師会は療法が「有害で効果なし」としている。
コンバージョン療法には、会話療法、催眠療法、電気ショック療法、断食療法などの方法がある。極端な例だと、悪魔払いやレズビアンを改心させる為のレイプ、などが報告されている。ジャシンダ・アーダーン首相は、コンバージョン療法禁止を昨年二期目の選挙公約に掲げてきた。
同日付ニュージーランド『RNZ』は「宗教団体も転換療法法案の対象へ」との見出しで以下のように報道している。
政府のLGBT転換療法禁止法案では、宗教団体も対象とされるが、宗教の自由は保障されているようだ。法務相は、来年2月までの通過を目標としている。
刑事罰と民事罰の両方が適用となる当法では、性的指向を変えさせる目的でセラピーに行かせようとすることも違反の範囲となる。18歳未満への療法を焦点とし、例えば両親が子どもにセラピーに行くよう強要した場合も懲役刑となる。反対に、宗教や医療、メンタルヘルスの支援を受けるよう勧めることは合法に留まる。
労働党は2020年の選挙キャンペーンで転換療法禁止を公約としてきた。緑の党は2月、政府の禁止への対策が遅いと批判。ジュディス・コリンズ国民党党首は、青年団との会合や問題について調べてから、禁止法案に賛成の立場を表明。
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