政府は7月8日、新型コロナウィルス(COVID-19)感染再拡大を憂慮して、東京都に対して緊急事態宣言を再々度発出した。これに関して米メディアは、デルタ株(インドで発見された変異株)のみならずラムダ株(南米で発見された変異株)が驚異的に蔓延し始める中、ワクチン接種(2回)比率が依然僅か15%程度の日本が、海外から数万人のアスリート・大会関係者・メディア等を受け入れることになる、東京オリンピック開催に固執している国際オリンピック委員会(IOC)及び大会組織委員会に対して、疑問を呈している。
7月7日付
『AP通信』:「東京都のCOVID-19感染急上昇を受けて緊急事態宣言が再々発出される中、東京大会が予定どおり開催」
東京都におけるCOVID-19新規感染者数は、直近2ヵ月間で最多となるまで再度急上昇している。
すなわち、7月7日の新規感染者は920人で、1週間前の714人を遥かに上回り、5月13日の1,010人以来の最多記録となっている。
そこで日本政府は、現行のまん延防止等重点措置の期限となる7月11日以降、東京都に対して緊急事態宣言を再々度発出する意向である。...
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7月7日付
『AP通信』:「東京都のCOVID-19感染急上昇を受けて緊急事態宣言が再々発出される中、東京大会が予定どおり開催」
東京都におけるCOVID-19新規感染者数は、直近2ヵ月間で最多となるまで再度急上昇している。
すなわち、7月7日の新規感染者は920人で、1週間前の714人を遥かに上回り、5月13日の1,010人以来の最多記録となっている。
そこで日本政府は、現行のまん延防止等重点措置の期限となる7月11日以降、東京都に対して緊急事態宣言を再々度発出する意向である。
菅義偉首相(72歳)が7月8日に関係閣僚、専門家委員らと討議して、8月22日まで6週間の措置とすると言われている。
しかしながら、7月23日の東京オリンピック開会式は予定どおり実施されるという。
また、同大会閉会式は緊急事態宣言下の8月8日に予定されている。
一方、IOCのトーマス・バッハ会長(67歳、ドイツ人弁護士、元フェンシング選手)がかかる状況下の7月8日に来日するが、所定通り入国後3日間、都内の5つ星ホテルで自主隔離する。
そして同会長含めたIOC幹部らと東京大会組織委員会が7月9日に会合を持って、緊急事態宣言下において、東京大会の開会式、各競技場の観戦者数について、最終的にどうするか決定するとみられる。
数ヵ月前に、海外からの観戦者は受け入れないことが決められていて、更に2週間前、上限を1万人とした上で各施設の最大受け入れ人数の50%までの入場を許可すると決定していた。
米代表選手団は、日本到着までやそれ以降の対応について都度情報連絡を受けることになっている。
しかし、米男子バスケットボールチーム・コーチのグレッグ・ポポビッチ氏(72歳)は7月7日、キャンプ地のラスベガスにおいて、“日本の観戦者が競技場に入れるのか含めて、一切知らされていない”とコメントしている。
一方、COVID-19感染症対策分科会の尾見茂会長(72歳)は、“目下の感染症が再度急拡大している現状に皆が真剣に捉える必要がある”とした上で、政府に対して東京大会開催前に至急もっと厳しい感染症防止策を実施するよう求めるとともに、“日本にとって7~9月がCOVID-19対応に当たって最も危険な時期だ”と警鐘を鳴らしている。
また、国立感染症研究所の脇田隆字所長(63歳)も、“首都圏の新規感染者の3分の2が東京都で発生しており、他県に伝播する恐れを懸念している”と述べている。
かかる状況下、国内外のメディアが挙って東京大会開催へ突っ走る対応を批判しているが、IOCは、中止に伴う損失が多額であることから何としてでも開催しようとしているとみられる。
なお、IOCの大会を通じて得られる収益の75%は放映権収入であり、万が一中止となると、IOCの損失額は30~40億ドル(約3,300~4,400億円)に上ると言われる。
しかしながら、感染者総数81万人、死者1万4,900人を出している日本において、ワクチン接種(2回)比率は全人口の僅か15%に留まっており、47.4%の米国や50%の英国に比して大きく劣っている。
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