ドイツVolocopter社の最新型の空飛ぶタクシーVolocityが、電動エアタクシーとしては初めて、制限区域内でのテスト飛行のための欧州認証を取得した。2024年のパリオリンピックでは、商業飛行が計画されている。
フランスメディア
『レゼコー』と
『BFMTV』によると、欧州航空安全機関(EASA)は24日、ドイツのメーカーであるVolocopter社の電動エアタクシーに、限られた範囲での試験飛行を許可した。この制限付きの「飛行許可証」では、まだ乗客を乗せて商業飛行を開始することも、人口密集地の上空を飛行することもできない。しかし、2024年のパリオリンピックで計画されている初の商業飛行を見越した重要なステップを踏んだと言える。
設計検証を経て取得した認証により、都市部やスポーツスタジアムなど、よりリスクの高い場所の近くも含めて、「明確に定義された低リスクエリアでドローンを運用することができる」ようになる。
Volocopter社は、21日、パリ航空ショーの開催に合わせて、フランスのル・ブルジェの飛行場で、エアタクシー「VoloCity」を含む2機の航空機を実際に飛行させることができた。今回の飛行デモをはじめ、6月にル・ブルジェで行われた飛行デモは、2030年に本格的な商業サービスを提供することを目指すためのもので、2024年にパリで開催されるオリンピック・パラリンピック競技大会で限定的な商業飛行が予定されている。
VoloCityは空飛ぶ電気自動車で、18個のモーターと9個のバッテリーを搭載している。パイロットを含む2人の人間を乗せることができる。時速110km、高度400~500mで飛行し、航続距離は35kmと自律性はまだ限られている。しかし、この軽量垂直離陸機(VTOL)の最大の利点は、電気モーターを搭載していることで、ヘリコプターと比較して、従来の回転翼よりもはるかに静かで、1時間当たりの飛行コストが低いことだという。
5月には、都市のエアモビリティに関するEU初の広域調査の結果が発表され、回答者の大多数が、エアタクシー、エア救急車、ドローンによる配達などのサービスを歓迎していることがわかった。一方で、安全性、セキュリティ、騒音、野生動物への影響などの問題の可能性について懸念の声が上がった。
2019年11月に発表されたコンサルティング会社オリバー・ワイマンの調査によると、空飛ぶタクシーの市場は、2035年には350億ドル(約3兆8800億円)以上の規模になる可能性があり、世界の60~90都市、特にアジアやアメリカのメガシティが対象になるという。
しかし、仏『01ネット』によると、空飛ぶタクシーのサービスを実現するには、克服しなければならない技術的なハードルがまだたくさんあるという。例えば、空港エリアを超えた、1,000メートル以下の高度の飛行には、航空管制を導入する必要がある。現在、ドローンによる交通管理の発展に伴い、規制も進化してきているが、まだ限定された飛行領域内での実験段階にある。これを一般化して電動の垂直離着陸機にまで広げることは可能であるものの、航空交通管制の自動化など、特定の条件下でのみ可能になる。
仏電気企業タレス社の航空電子機器部門副部長であるヤニック・アスアッド氏は、「実現のためには空域を完全にデジタル化する必要がある。交通システムに莫大な演算能力が必要になってくる。さらには従来の飛行機とも通信する必要があり、一連のやりとりは安全が保証されなければならない」と述べている。
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