欧州委員会は23日、サイバー攻撃に対抗するため、防衛機関、警察、軍、関連当局の連携を強化するプラットフォームとなる、サイバーセキュリティ合同部隊を創設する計画を発表した。
ベルギー紙
『レコー』によると、欧州委員会は23日、欧州の公的機関や企業を標的としたサイバー攻撃への対策を強化するためのプラットフォーム「共同サイバーセキュリティ・ユニット」の創設を求める勧告を採択する見込みだという。EU各国と欧州議会で採択されれば、2022年までに欧州ネットワーク・情報セキュリティ機関(ENISA)が欧州刑事警察機構(Europol)と協力して設置することになる。この部署は、「欧州デジタルシールド」の構築の一環として設立されることになる。
サイバー攻撃は、近年ますます数が増え、巧妙になってきている。民間の団体だけでなく、外国の勢力が攻撃を仕掛けてくることもある。欧州対外行動庁(EEAS)によると、ロシア、中国、北朝鮮などが、スパイ活動または何らかの打撃を与えることを目的とした攻撃の発信源となっていることが多いという。
このような攻撃は、危機に直面している際ヨーロッパ全体に打撃を与え、状況を悪化させる可能性も考えられる。新型コロナウイルスのパンデミックの真只中でも、欧州医薬品庁(EMA)のファイザー社/バイオンテック社のワクチン文書が攻撃の標的となった。
仏『BFMTV』によると、23日にも、ベルギーのリエージュ市がランサムウェア攻撃の被害に遭い、ほとんどのサービスが麻痺したという。欧州加盟国のほとんどの国で、サイバー攻撃の専門機関を設けているが、国レベルでは対応しきれない状況が発生しており、今後さらに増加すると思われる攻撃に対して、より効果的に対処するため、欧州は一種のタスクフォースを提案している。
欧州委員会によると、欧州企業の8社に1社はすでにサイバー攻撃の対象となった経験を持っており、欧州のユーザーの5人に2人はセキュリティ問題を経験したことがあるという。2020年末の時点で、世界経済に対するサイバー犯罪の年間コストは5.5兆ユーロ(700兆円)と推定され、これは2015年の2倍にあたる。
新しく設立された部署は、欧州および各国のサイバーセキュリティ機関、さまざまな警察、軍、外交機関の間の調整や情報共有を促進し、攻撃への反撃力を高めることを目指すことになる。
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