米国の国際社会への復帰を印象付ける主要7ヵ国首脳会議(G-7サミット)では、米国の思惑通り、対中国包囲網が構築された。この結果に不快感を表した中国は、国営メディアにG-7を揶揄する風刺画を掲載させて留飲を下げようとしている。掲載されたのは、イエス・キリストが弟子の裏切りを予言したときの情景を表した“最後の晩餐(注後記)”を“最後のG-7”として、G-7首脳らを動物に見立てて嘲笑する風刺画である。
6月17日付
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「中国共産党傘下のメディア、G-7を嘲笑する風刺画を掲載」
中国共産党傘下の国営メディア『環球時報』が6月16日、反キリスト教、反西側諸国を標榜する一環で、その代表たる米国を、“弱弱しく”かつやがて死ぬ運命にあると象徴するような風刺画を掲載した。
“最後のG-7”と題した風刺画は、イエス・キリストが処刑される前夜に十二使徒と共に摂った夕食の場面を描いた“最後の晩餐”を模したもので、G-7首脳らを動物に見立て、中国の地図があしらわれたケーキを囲んで、毒入りワイン(福島原発の処理水を意図)を楽しむ姿を描いている。...
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6月17日付
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「中国共産党傘下のメディア、G-7を嘲笑する風刺画を掲載」
中国共産党傘下の国営メディア『環球時報』が6月16日、反キリスト教、反西側諸国を標榜する一環で、その代表たる米国を、“弱弱しく”かつやがて死ぬ運命にあると象徴するような風刺画を掲載した。
“最後のG-7”と題した風刺画は、イエス・キリストが処刑される前夜に十二使徒と共に摂った夕食の場面を描いた“最後の晩餐”を模したもので、G-7首脳らを動物に見立て、中国の地図があしらわれたケーキを囲んで、毒入りワイン(福島原発の処理水を意図)を楽しむ姿を描いている。
同風刺画は、先週末に英国で開催されたG-7サミットを揶揄する目的で描かれており、中国ミニブログサイト『新浪微博(シンランウェイボー、2009年設立)』に投稿されたものだとする。
同メディアは、“G-7サミットは、中国に対抗するために米国が仕掛けた包囲網構築を象徴している”とし、“ただ、ワシとして描かれている米国は、今日の攻撃的姿勢を示そうとしているものの、実態は弱弱しく、かつ膨張する負債と人種間衝突問題に喘いでいる”と寸評している。
G-7首脳は6月13日、“中国が行っている非市場志向の政策に対抗していくため、共同のアプローチについて引き続き協議する”とし、更に、“新疆ウィグル自治区や香港での人権侵害の是正を中国側に求めていく”との共同宣言を採択している。
これに対して、中国外交部(省に相当)の趙立堅報道官(チャオ・リーチアン、48歳)は6月15日の定例記者会見で、“当該共同宣言は、明らかに国連の目指す目的や原則に違反している”とした上で、“一国や小グループが世界を牛耳る時代は終わった”と批評した。
更に同報道官は、“(G-7を主導する)米国は本当に病んでいる”とし、“G-7諸国は、病んだ米国の脈を計り、適切な処方箋を準備するよう提言する”と付言している。
なお、米空軍元准将で、現在ハドソン・インスティテュート(1961年設立の保守系シンクタンク)米中関係専門家のロバート・スポールディング上級研究員は、“中国共産党は、自国のシステムが自由主義国の民主主義より優れていると信じている”とした上で、“自由主義世界の過ちを指摘しようとしているだけでなく、人口政策に現われるように、更に自国のシステムの素晴らしさを体現させようとしている”と分析している。
(注)“最後の晩餐”:イタリアのルネサンス期を代表する芸術家のレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519年)の作品の一つで、3年の歳月をかけて1498年に完成。キリスト教の新約聖書のうちマタイによる福音書第26章やヨハネによる福音書第13章等に記されているイエス・キリストと12使徒による最後の晩餐を題材としたもので、「12使徒の中の一人が私を裏切る」とキリストが予言した時の情景が描かれている。
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