習近平国家主席(シー・チンピン、68歳)は昨年12月、重要課題として取り組んできた貧困撲滅運動の目標が達成できたと高らかに宣言した。中国統計結果より、確かに平均年収の底上げが進んだが、一方で、都市部と農村部の収入格差が大きく拡大している。
6月14日付インド
『アジアン・ニュース・インターナショナル(ANI)』(1971年設立):「中国農村部の住民、都市部との収入格差拡大に喘ぐ」
中国政府はこれまで、重要課題の一つとして、生活水準を改善し貧困層の撲滅に注力してきた。
その結果、農村部における平均年収が底上げされてきたが、一方で、都市部住民との収入格差拡大に苦しんでいる。
『日経アジア』紙(2011年刊行の英字紙、2020年9月『日経アジアン・レビュー』から改称)報道によると、習近平国家主席は昨年12月、長い間の貧困対策が奏功して、ついに貧困問題が解決したと高らかに宣言した。...
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6月14日付インド
『アジアン・ニュース・インターナショナル(ANI)』(1971年設立):「中国農村部の住民、都市部との収入格差拡大に喘ぐ」
中国政府はこれまで、重要課題の一つとして、生活水準を改善し貧困層の撲滅に注力してきた。
その結果、農村部における平均年収が底上げされてきたが、一方で、都市部住民との収入格差拡大に苦しんでいる。
『日経アジア』紙(2011年刊行の英字紙、2020年9月『日経アジアン・レビュー』から改称)報道によると、習近平国家主席は昨年12月、長い間の貧困対策が奏功して、ついに貧困問題が解決したと高らかに宣言した。
しかし、農村部と都市部の年収格差はむしろ拡大しており、田舎の居住者の生活は依然苦しい。
養豚場を営む54歳の男性によると、“直近数年で生活様式は若干改善してきているが、依然困窮していることに変わりはない”と証言している。
同氏の年収は、依然3万人民元(約51万円)に届いていない。
中国の約9億人が都市部で暮らし、残り約5億人が農村部で居住する。
政府統計資料によると、2020年における前者の平均年収は4万3,834人民元(約74万5,200円)で、後者は1万7,131人民元(約29万1千円)である。
『日経アジア』紙によると、7年前と比較して、前者と後者の年収格差は57%も広がってきているという。
これは、農村部においては、農業以外の選択肢がほとんどないことに加えて、農業分野での事業拡大の可能性がないからである。
東京大学の田原史起教授(54歳、社会学者・歴史学者、中国社会論専門)は、“都市部の企業は、農村部からの移住者を低賃金で雇用することで利益を上げ、「世界の工場」と呼ばれる程成長を続けてきた”とし、“言わば農村部を植民地として活用してきているので、今後も収入格差が縮まることはあるまい”と解説している。
実際問題、多くの農村部住民が都市部に移住して就職しており、彼らの獲得する平均年収は2020年実績で4万8千人民元(約81万6千円)にも達している。
しかし、それでも都市部の正規社員に比べると、依然遥かに低い収入レベルである。
(参考)中国の貧困問題:習主席は昨年12月、貧困対策で目標を達成したと表明した上で、中国共産党は今年7月、創設100年の節目を迎えるが、貧困脱却が誕生日プレゼントになると力説。しかし、海外の一部の政策専門家は、中国が貧困の定義を緩めに設定しており、貧困地域の開発継続には持続的な投資が必要だと指摘。何故なら、中国は、農村部の極度の貧困を1人当たりの年収4千人民元(620ドル、約6万8千円)未満と定義していて、これは1日当たり約1.69ドル(約186円)に相当するが、世界銀行の設定する国際貧困ライン1日当たり1.90ドル(約209円)より1割余りも低いからである。
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