船舶の航行が北極の溶解に大きな影響を及ぼしていることが明らかになっている。船舶エンジンの燃料に使用している重油から発生する排気ガス中の黒煙粒子が氷山の溶解に影響している。
海上輸送では実際の所、石油精製設備から生産される最も安価で、汚染物を多く含む重質油(HFO)が使用されてきた。特に地球温暖化の影響を受けて北極圏を航行する船舶の数は年々多くなり、それらがHFOを燃料として使用することで、大気中に大量の黒煙粒子を含んだ排気ガスを大気中に放散している。...
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船舶の航行が北極の溶解に大きな影響を及ぼしていることが明らかになっている。船舶エンジンの燃料に使用している重油から発生する排気ガス中の黒煙粒子が氷山の溶解に影響している。
海上輸送では実際の所、石油精製設備から生産される最も安価で、汚染物を多く含む重質油(HFO)が使用されてきた。特に地球温暖化の影響を受けて北極圏を航行する船舶の数は年々多くなり、それらがHFOを燃料として使用することで、大気中に大量の黒煙粒子を含んだ排気ガスを大気中に放散している。
さらに多量の黒煙粒子は北極の雪や氷山に沈着すると、太陽光に対する反射作用を弱めることになり、その結果、太陽からの熱吸収量が増加し雪や氷塊の溶解速度を加速することになるという。
特に、海上輸送による黒煙粒子の増加は近年、顕著のなってきており、2015年から2019年の4年間で85%の増加となっている。
NGO団体「きれいな北極連合」のシアン・プリオール主席顧問はAFPの記者との会見で「国際海事機関(IMO)の加盟国がこの問題解決のためには厳しい規則を制定する必要がある。」と明言した。すなわち、海運会社に対して船舶の燃料を変更させるように働きかける必要があると言う。
例えば、軽油や船舶用軽油(MGO)やその他の精製油などHFOに比べて清浄な燃料油を船舶に使用することで北極圏での黒煙の大気放出量を44%削減できる。
またさらには、軽油やMGOを燃料として使用する船舶は黒煙を除去するフィルターを煙突に設置することが必要という。これにより排気ガス中の黒煙粒子の大気への放出量を90%低減できるという。
北極の氷山の溶解防止のため、海運業界の早急な燃料転換を期待したい。
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